農業情報研究所グローバリゼーション二国間関係・地域協力ニュース:2013年12月24日

オバマ大統領 最強の自由貿易支持者を中国大使に 今やTPPより中國か?

 オバマ大統領が多くは自由貿易の利益に懐疑的な民主党議員の中でも貿易自由化の中心的唱道者であるボーカス上院財政委員長を中国大使に指名する。同議員はTPP交渉推進に不可欠の「貿易促進権限(TPA)」法の支持者であり、つい先日も、同議員とカンプ下院歳入委員会委員長が来年早期の法案上程と採択で合意したというニュースが流れたばかりである(Fast-track opens door for US TPP approval,FT.com,13.12.6)。

 しかし、もしボーカス議員が中国大使の任に就くとなれば、TPAをめぐって激しく争う議会は最も強力なTPA推進者を失うことになる。そればかりか、財政委員長の最有力後任者は貿易に関してはもっと消極的で、先にTPP協定で「為替操作」を取り締まれとオバマ大統領に書簡を送った上院超党派議員団の一員である(米議会上院過半数議員 TPPで”為替操作”に取り組めと政府に要請 アベノミクス円安許さず,13.9.26)。

 US senator’s China move raises trade doubts,FT.com,13.12.22

 オバマ大統領、折角見えたTPA承認に向けた芽を自ら摘み取るつもりだろうか。あるいは、いまやTPPよりも対中関係の方が重要と考えのだろうか。 フロマン米国通商代表は対中貿易年次協議のために訪れた北京で、TPP交渉は「何がしかの時間がかかると述べたそうである。TPP交渉は長期戦を覚悟した可能性もある。急ぐは日本政府ばかりか?

 U.S. sees Pacific trade pact talks taking time,Reuters,13.12.21