農業情報研究所グローバリゼーション二国間関係・地域協力ニュース:2014年2月21日

NAFTAサミット 渡り蝶・オオカバマダラ保護で合意 TPPを睨んだ環境懐柔策?

  2月18日、メキシコで開かれたカナダ・米国・メキシコ首脳によるNAFTA(北米自由貿易協定)サミットで、この三国間を移動する渡り蝶・オオカバマダラの保護するためのワーキンググループの設置が合意された。

 サミットに先立ち、学者・環境保護団体は3人の首脳に宛てた書簡で、遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ・大豆の栽培に際して使われる農薬が「世界で最もあがめられる蝶」の繁殖地を奪ってきたとして、「NAFTAの生きたシンボルを救う」ための行動を取るように要請している。首脳はこれに応え、貿易にかかわる会議では異例にも見えるこの合意に至ったのだろう。

 しかし、この話はどうもよく出来すぎている。この会議で、オバマ大統領は、「TPPは我々がNAFTAでなしてきたことを補完するものだ」、その成功を約束すると言っている。学者・環境グループに対するサービスは、環境保護措置が不十分としてTPPに反対し、あるいは懐疑的な環境グループをTPP支持に回らせようとする策略ではと勘ぐることもできよう。

 US, Canada and Mexico seek increased trade in Nafta summit,FT.com,14.2.21

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