静岡県がTPP影響試算 農産生産減少額はJA試算のたった6% お釈迦様でも知らぬ仏のTPP

農業情報研究所グローバリゼーション二国間関係・地域協力TPP ニュース:2016年2月20日

 静岡県が 環太平洋連携協定(TPP)の県内の農林水産業への影響の試算結果を公表した。農産物生産額(売り上げ)は15億8000万円は減少するという。昨年12月にJA静岡中央会が公表した256億8000万円の減少のわずか6%ほどにすぎない。

 JAの試算との差について、県経済産業部は試算の前提条件が違う、「JAは生産物の品質を考慮していない。さらに、国内政策がとられず生産量が減ることが前提」と説明。一方、県の試算は「県産品は品質が高く外国産と競合しない。生産量も国内対策が取られて維持できると考えており、価格の下落率も低く設定した」などと言っているそうである。県が前提とする条件に従うと、米は輸入量と同量を国が買い上げるため影響なし、お茶や野菜などもTPP参加国からの輸入量が少ないなどの理由でやはり影響なしなのだそうである。

 TPP影響 農産物15億円減(静岡) 中日新聞 16.2.20

 どちらの肩をもつわけでもない。エコノミストの佐藤克昭浜松学院大客員教授は「試算の客観的根拠を明示すべきだ。役所とJAがそれぞれの立場から数字を出すと県民に誤解を与える」と指摘しているそうであるが、そういう問題でもない。「試算の客観的根拠」など誰が知るか。どんな中身でいつ発効するのか、お釈迦様でも知らぬ仏のTPPだ。こんな無駄な試算はもうやめにしたらと言いたい。近頃の政治家や役人には、もう付き合い切れないというところだ。

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