農業情報研究所グローバリゼーション二国間関係・地域協力ニュース:2015年9月27日

TPP 10月2日合意でも米議会投票は早くて来年2月半ば 限りなく遠のく批准 パブリック・シチズン

   環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加12カ国の首席交渉官による会合が9月26日、米ジョージア州アトランタで開幕した。30日から始まる閣僚会合での大筋合意につなげようという。

 しかし、米議会の審議日程からしてTPPの長期漂流を回避するための大筋合意最終期限は7月末であったはずだ(TPP閣僚会合もう一回?期限はとっくに切れている パブリック・シチズンの「TPP投票カレンダー」,15.8.8)。最後のはずの閣僚会合がどうして2度もあるのか。そこで大筋合意がなったとしても、米国議会による批准がなる見込みはあるのか。

 米国パブリック・シチズンの改めての発表によれば(TPP Vote Timeline,Public Citizen,15.9.25)、「オバマ政府が9月24日までにTPP協定に調印すると議会に通知しなければ、オバマ政府がファスト・トラック法の規定のあらゆる曖昧性を利用したとしても2015年中の議会投票は不可能である」。

 過去の慣行に合わせてファスト・トラック法の規定に従えば、TPP投票のための最速のタイムラインは議会に協定調印の意図を通知した後4ヵ月半かかる。しかもこれは、国際貿易委員会(ITC)のTPPの影響に関する報告が過去の協定の場合よりも早く完成すると仮定しての話しである。だから、9月末-10月初めの閣僚会合で「どうにか10月2日に合意に達し、来年1月に協定調印のための会合が開かれたとしても、米議会の最終投票は最速でも2016年2月半ばになる」。

 ところが、「2016年に入れば、不人気なTPPへの賛成投票の政治的コストは週ごとに高まる。大統領予備選挙は2月1日から6月半ばにかけて行われる。共和・民主両党の大統領選正式候補は7月末に選出され、総選挙の喧騒が11月4日の選挙日まで続く。民主・共和両党の大統領候補は、既にTPP攻撃を始めており、公衆の批判はTPPがもたらす失業等への脅威に対する注目を生みつつある。2016年のTPP投票は、TPP賛成票を投じた者を有権者が2016年11月議会選挙(全下院議員と3分の1の上院議員の改選)で罰することになる」。

 そして2017年、オバマ大統領の任期が切れる。交渉官・閣僚たち、TPP成立のためのいかばる秘策をもって交渉に臨むのだろうか。