タイ警察 GMパパイヤの試験場からの漏出で実験責任者と研究者を調査

農業情報研究所(WAPIC)

05.12.10

  タイの警察が遺伝子組み換え(GM)パパイヤが研究所の外に漏出するに任せているという嫌疑で、農業省の前研究プロジェクト責任者・Chakan Saengruksawong氏と研究者の調査に乗り出した。国家人権委員会(NHRC)の訴えを受けたもので、人権委員会のVasant Panich コミッショナーは、コーンケーンの県試験場でのフィールド実験後、このGMパパイヤが外部に漏出したのを確認したために、提訴に踏み切ったと言う。

 Police to step up probe into GM papaya,Bangkok Post,12.10
  http://www.bangkokpost.com/News/10Dec2005_news15.php

 農業省は、国中でパパイヤの大きな減収の原因となっている輪紋ウィルスに抵抗性をもつGMパパイヤのフィールド試験を行った。研究は、省と、既に輪紋ウィルスの遺伝子組み換えDNAと関連する発明で特許を得ているコーネル大学により行われている。コミッショナーは、GMパパイヤの拡散は、特許付きのパパイヤ品種をそうとは知らずに栽培したために訴えられるかもしれないタイ農民を傷つけることになるし、GMパパイヤの生態系や土着のパパイヤ品種への影響もはっきりしていないと言う。

 彼によると、NHRCは昨年、この発見をタクシン首相とこの責任者に伝えたが、漏出を止める手段はほとんど何も取られなかった。また、最近のパパイヤサンプルの試験所検査で、GMパパイヤがさらに多くの県に拡散したことも確認したという。

 NHRCの生物多様性・知的所有権小委員会の委員であるBuntoon Srethasirote氏は、農業省がGMパパイヤの植栽を禁止する植物検疫法に違反していると推認する。彼は、これがバイオセーフティー試験を通過しいないから栽培は容認できない、また、GMパパイヤ栽培は、GM作物が世界市場で人気がないから、タイの農民や果実輸出業者を傷つけることにもなると言っている。

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