農業情報研究所農業・農村・食料>中東・アフリカニュース:2012年12月13日

サウジ 2016年小麦生産撤退を再確認 アフリカに食料安保を託す?

  サウジアラビアの新農相が11日、2016年までに国内での小麦生産を停止、小麦は完全に輸入に依存することになると発表した。

 KSA to stop wheat production by 2016,Sauzi Gazette,14.12.11

 枯渇に向かう水資源の保全のために2016年までに小麦生産から段階的に撤退するという方針は既に2008年に表明されており(麦自給の夢達成の砂漠国・サウジ 2016年まで小麦生産撤退 輸入国に,08.4.11)、国内小麦生産はそれ以後、年率12.5%の割合で減ってきた。2008年に30万トンほどだった小麦輸入は今年は300万トンに達し、国は世界のトップ6小麦輸入国になった(日本の毎年の輸入量は600万トンほど)。

 しかし、2年ほど前、サウジアラビアのエコノミストから、戦略商品である小麦を輸入に依存するのは食料安全保障上問題があるという異論も出ていた(サウジアラビア・エコノミスト 小麦生産撤退計画見直しを 小麦は経済性を超えた戦略商品,12.11.19)。そういう異論を受け、農相は改めて従来の方針を確認したものと思われる。

 しかし、そのためには食料安全保障への懸念を払拭しなればならない。農相は、現在半年分ほどの備蓄を1年分に増やすと言う。しかし。それだけでは心もとない。湾岸協力会議(GCC)経済問題相の農業顧問は、アフリカの土地に期待する。しかし、アフリカでの食料生産への投資家は現地農民の声に耳を傾け、彼らを土地から排除せず農民が投資から利益を得るように保証する必要があると言っているそうである。それが口先だけのことでなければ結構だが。

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