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カナダ・米国:BSE感染はもっとありそう-専門家

農業情報研究所(WAPIC)

03.6.10

 9日、カナダ食品検査局(CFIA)が先月のBSE確認以来行なってきた調査の完了を発表した(Latest Information (as of  June 9, 2003 - 12:00 EDST))。感染牛が生涯を通じて過ごした可能性のあるすべての農場、その子の行き先農場を調査、これら農場の牛のBSE検査はすべて陰性であった。また、牛の肉骨粉が使用された可能性のある場所やその飼料の出所も調査された。この調査の結果、カナダに設けられたシステムはBSEの発見とその伝播の防止のために機能してきたと確認できるし、BSE感染は一頭に限られるだろうとも言う。ただし、感染牛の出生については未だに不明である。

 米国、ヨーロッパ、ニュージーランドの専門家で構成される国際監視チームは調査で得られたデータを分析、近々報告を出すが、短期間でこの包括的調査を完了したカナダ専門家の作業を高く評価した。

 これを受け、カナダ当局は、とりわけ米国への輸出の早期再開を期待しているようだ。しかし、米国獣医局行政官は報告書のすべての情報が得られるまではいかなる動きもないだろうと言っている(Experts give thumbs up to mad cow response,The Globe and Mail,6.9)。それどころか、ロイターが伝えるところでは、国際獣疫事務局(OIE)BSE専門家委員会のメンバーであり、国際監査チームの一員であるUlrich Kihm博士は、病気が北米の他の動物を襲った可能性も否定できないと語ったという(Canada, U.S. Likely Have More Mad Cow Cases-Expert,6.9)。カナダのもっと多くの牛がBSEに感染している可能性を問われて、「第二、第三、それ以上のケースが見つかるリスクがある。答えは明らかにYesだ」と答えた。さらに、カナダと米国の間の生きた牛の行き来を考えれれば、カナダと米国の両国にBSEが「高度にありそうだ(high probability)」と言っている。両国はまったく同じ状況に置かれているというのである。

 カナダ、米国のBSEコントロールのシステムについても「fairly good」とは言いながら、「改善できるし、改善しなければならない、このことに何の疑問もない」と付言したという。

 日本も「北米」からの牛肉、牛肉製品、牛由来製品に対する警戒を一層強める必要があるかもしれない。

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