農業情報研究所環境環境・自然保護・生物多様性2019年2月18 

ドイツ 昆虫保護法制定へ グリホサート完全禁止、夜間照明制限などアクションプランも

ドイツのスベ―ニャ・シュルツェ環境相が昆虫保護のための新たな法律の制定を要請している。大臣は、昆虫の法的保護の改善は人類の未来も保護する、それは法による保護に値する、この法はクワガタムシやオオマルハナバチを保護するのみならず、何よりもわれわれ自身を保護すると言っている。昆虫と農家の生き残りを保障する解決策のために農業省基金を利用するように望んでいるという。

 Insect protection law mooted by German minister,Deutsche Welle,19.2.17

 これは最近発表された世界の昆虫種の40%が近い将来に絶滅する恐れがあるというオーストラリアの研究(世界の昆虫種の40%が絶滅の恐れ 食料生産に影響、害虫増加の恐れも 農業情報研究所 19.2.12)に触発されたものだ。

 計画されている昆虫保護法は自然保護、水資源、植物保護を律するルールの改変と、肥料使用の一層の制限を含むことになる。環境省の昆虫保護アクション・プランは4月に提出される。プランには昆虫研究のための2500万ユーロを含む年1億ユーロが割り当てられる。

 その他、グリホサートの2023年までの完全禁止、昆虫の方向感覚を狂わせる夜間照明の新たな制限、2050年までの住宅供給または道路プロジェクトのための新たな土地利用の制限の措置も含まれる。

 実現不能にも見える遠大なプランだが、フランスは10年も前に、希少化する自然資源と生物多様性も保全も可能にするフランス農業を2020年までに 作り上げるという壮大なプランを発表(2020年のフランス農業 生産性維持と自然資源・生物多様性の保全 農業情報研究所 09.3.2)、「農業未来法」(2013年)でそのような農業(アグロ]・エコロジー)の実現に向けて取り組んでいる(フランス農業未来法案 閣議提出 経済と環境の両立目ざし 農業情報研究所 13.11.15« Notre ambition : associer culture bio et ambition agroécologique » ,Ministère de l’Agriculture, de l’Alimentation,19.2.7

)。ドイツもフランスの後を追い始めたということかもしれない。

 わが国マスコミは、世界を震撼させた昆虫種の減少と絶滅の恐れに関するオーストラリアの研究について、私の知るかぎり完全に無視している。政府も農薬・肥料等農業資材の値下げを農業改革の目玉の一つに掲げても、その使用制限など夢にも考えない。

そんな国の国民からすれば、おとぎの国のような話である。