農業情報研究所環境エネルギーまたは森林ニュース:201871

ナラ枯れだから雑木林全部伐った 太陽光に目が眩み「バレてる嘘をぬけぬけと―」

仙台市青葉区八幡6丁目の住宅地近く、文殊菩薩堂裏側の斜面にあった約6600平方メートルの雑木林が、地域住民への何の事前説明もなく地権者により伐採されてしまった。カエデやコナラなどの広葉樹が生い茂る雑木林の下には、大雨が降ると雨水や土砂が流れ込み、6年前には床下浸水もあったという住宅地が広がっている。住民は伐採で地盤の保水力が低下、土砂崩れが起きるのではないかと懸念している。

  雑木林伐採で周辺住民が土砂崩れを懸念 仙台・八幡 河北新報 18.7.1

 誰が考えてもそんな心配がある。なのに、地権者は何故伐採してしまったのか。地権者の説明が奮っている。「雑木林が感染症のナラ枯れだったので全部切った。サクラを植樹するつもりだったが、住民から文句を言われ、やる気がなくなった」のだそうである。

 しかし、全部切るとか(それに切った木はどう処分したのか)、跡地にサクラを植えるとか、そんなナラ枯れ対策は聞いたことがない。地権者の言い分は、何か不都合なことをごまかすためのでまかせに過ぎないように思われる。ある住民は「太陽光発電施設を計画していると地権者から直接聞いた。開発目的の伐採だったのではないか」と指摘しているという。恐らくそんなところだろう。金に目がくらむと、人は何を仕出かすか分らない。そういう人が、見るも無残な日本列島を作り出し、平然としている。

 そんな人を行政が後押ししているのも許せない。地権者と住民の折り合いが付かず、間に入った市農林土木課は、表土の露出部分をわらで覆うなどの対策を提案、「土砂崩れの可能性は低い」と言っているそうである。木を切って表土を藁で覆う、そんな保水力維持、土砂崩れ防止対策も聞いたことがない。

 「バレてる嘘をぬけぬけと―」(小泉純一郎元首相)、「国家の破滅に近づいている」(福田康夫元首相)(週のはじめに考える嘘とへつらう者たちよ 東京新聞 18.7.1)、国も地方も同じです。