シンジェンタ、カナダ農業バイテク企業と組んで干ばつ耐性コーン・大豆開発へ

農業情報研究所(WAPIC)

06.10.13

  シンジェンタ社(Syngenta Seeds, Inc.)とカナダに本拠を置く農業バイテク企業・Performance Plants Inc.が、Performance Plantsの収量保護技術(YPT、Yield Protection Technology)を使って干ばつ耐性のコーンと大豆の種子を開発するための契約をと結んだ。

 Syngenta:Syngenta Seeds, Inc. and Performance Plants to collaborate for development of drought tolerant crops,10.12
 Performance Plants:Performance Plants Inc. and Syngenta to Collaborate on Development of Drought Tolerant Crops,10.12

 この契約は、Performance Plantsによる4年間の圃場試験でYPTが干ばつ条件下で収量を保つのに高度に有効であることが示されたことを受けてのものという。

 これら作物は、通常の水分条件下での収量を下げることなく、干ばつに耐える形質を持つ。この技術は、作物が萎える前に気孔を閉じるように刺激することで干ばつ条件に曝された作物を保護する。多数のサイトで試験されたYPTカノーラ(ナタネ)は、農学的特徴への影響なしで収量を最大26%増やした。現在は、コーン、大豆、芝生、観賞用植物でこの形質の圃場試験を行っているという。

 両社は、この形質により生産者が灌漑水の利用を減らし、また限界的な作物栽培地をより生産力の高い作物地に転換することも可能になると期待している。 この形質は、特に更新可能な燃料がコーンと大豆に対する需要の増加を生み出しているから、生産者に大きな利益をもたらすと言う。

 バイテク企業としては希少な取り組みだ。シンジェンタ社は、この契約は、我々がコーン生産者に干ばつ耐性ハイブリッドをもたらす最初の種子企業になることに向けての一歩前進だと言う。ただ、それもバイオ燃料ブームに商機を見出したからにすぎないように見える。世界の飢餓削減に寄与するというバイテク企業の四半世紀前からの約束を果たすことなど、まったく念頭にないようだ。

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