西アフリカ共同体諸国 食料増産のためのバイテク開発行動計画を採択

農業情報研究所(WAPIC)

07.4.5

  西アフリカ経済共同体(ECOWAS)15ヵ国*政府が地域における食料増産のためにバイオテクノロジーを利用することに合意した。報道によると、15ヵ国農業・環境・科学担当相が先週(3月28-30日)、ガーナのアクラで農業におけるバイオテクノロージーをめぐる問題を論議するための会合を開催、バイテク投資を増強するために官民パートナーシップの利用と国・地域レベルでの安全措置の設置の必要性を強調する2006-2010年バイテク開発行動計画を採択したという。

 West Africa to boost food crops with biotechnology,SciDev.net,4.4

 この計画は、バイテク専門家のネットワークの設立を要請する。また閣僚たちは、遺伝子組み換え体(GMO)利用の社会・経済的影響を評価するための独立基金の立ち上げにも合意した。さらに。バイテクに関する知識と新たな技術の取得・開発・分配を助けるための地域知的財産権管理政策も開発することになる。

 閣僚会合は、この過程への”バイテク産業の介入”とGMフリーゾーンの定めの欠如を批判するために並行して開かれた会合に集まった非政府組織(NGO)、科学者、農民、消費者からの批判を呼ぶことになった。

 しかし、SciDev.netが接触した科学者はこの計画を歓迎している。ベナンのアフリカ稲研究所バイテク班のガンビア人一研究者は、それが西アフリカの農業生産性を改善するだろうと期待、耐病性のバナナ、キャッサバ、果樹や環境ストレスに耐える植物などを育成し、また既存の作物品種・家畜品種の栄養を改善するなど、西アフリカが必要とする多くのバイテク応用分野を指摘する。

 閣僚は、バイテクをめぐる公衆の恐怖に取り組むために、バイテクに関する公衆の知識を向上させる責任を負う国家情報・コミュニケーションユニットのネットワーク設立にも合意した。

 このような行動計画にもかかわらず、この地域へのGM農業の大々的導入は、たとえ将来あり得るとしても、遠い先のこのになるだろう。国連食糧農業機関(FAO)の途上国農業バイテクデータベース**によると、これら諸国の中で何らかの農業バイテク研究計画の存在が報告されているのはガーナ、マリ、ナイジェリア、セネガルだけで、その中でもGMO生物安全規則を持つ国はガーナとナイジェリア、GMOにかかわる食品安全規則も持つのはナイジェリアだけである。地域におけるGM農業開発は初期段階にも達していないというのが現実のようだ。

 *ベナン、ブルキナ・ファソ、カーボ・ヴェルデ、コート・ジボワール、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニア・ビソー、リベリア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、セナガル、シエラ・レオーネ、トーゴ。

 **http://www.fao.org/biotech/inventory_admin/dep/default.asp

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