農業情報研究所農業バイテクニュース:2010年12月18日

米農務省 GMと有機・非GMの共存の道を開く必要 GMアルファルファで環境影響最終報告書 

  米国農務省(USDA)が12月17日、USDAが完全な環境影響評価をすることなく栽培を許可したとして栽培禁止の判決を受けていた除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)アルファルファ(別称、ラウンドアップ・レディ(RR)ア(ルファルファ)の最終環境影響報告書(EIS)を発表した。

 参照:米連邦地裁 杜撰な環境影響評価で農務省のGMアルファルファ承認は違法,07.2.14;米連邦地裁 除草剤耐性GMアルファルファ商業栽培を禁止,07.5.7;米国控訴裁判所 除草剤耐性GMアルファルファの栽培禁止を支持,08.9.5

 報告書作成にあたり、USDAは、@RRアルファルファの栽培を承認しない、A無条件で承認する、B地理的な制限と隔離距離を設けた上で承認する、という三つの代替オプションを考慮した。それぞれについてあり得る環境影響を徹底的に分析、AとBのオプションを選んだ。選ばれたオプションについて、GM・非GM・有機アルファルファの共存にかかわる広範な環境・経済問題を考慮したという。

 USDAは、バイオテクノロジーが米国と世界の農業で大きな役割を演じるという立場を堅持し、USDAの規制システムが承認した多くの製品が安全であることは絶対に疑わないが、これらの問題の検討は、さまざまな関係者の期待に応えるためには規制システムが難題を抱えていることも浮き彫りにしたという。

 ビルサック農務長官は、「最近数十年、我々は、有機・非GM部門の台頭とならび、農業におけるバイオテクノロジーの急速な採用を経験した。これらすべて分野の成長は大きく、さまざまな作物栽培方法の間の葛藤、あるいは共存の困難ももたらした。これらの難題に取り組み、わが国農業を構成するすべての部分の共存を強化するための分別ある進路を開く必要がある」と言う。

 この日発表されたEISは決定文書ではない。少なくとも30日間、公衆の閲覧に付し、これをどう扱うかの決定はその後に公表するという。

 Dec 16, 2010  USDA Announces Final Environmental Impact Statement for Genetically Engineered Alfalfa

 共存の視点の強調は米国農業・GM政策の変化の兆候だろうか。日本は大きく遅れをとりそうだ。