農業情報研究所農業バイテクニュース:2013年10月22日 

中国 遺伝子組み換え米賞味キャンペーンが盛ん 国民のGM食品への懸念を一掃?

 10月19日、中国でおよそ260人のボランティアが参加したGM米の食味テストが始まった。湖北省武漢市の華中農業大学のGM食品を推奨するインターネット・ユーザーが始めたキャンペーンで、ボランティアはGM米で作られた菓子や粥を賞味した。使われたGM米には、大学で育てたベータカロチンが豊かな”ゴールデン・ライス”も含まれる。武漢の銀行でITの仕事をしている一参加者は、「いまやGM食品はどこにでもある。ワイフはいつも、何ヵ月か前に妊娠したあとも、GM大豆油を買っている」と言う。

 同様な食味テストは5月以来20の都市で行われ、1000人以上が参加したという。

 華中農業大学にあってGM食品を促進するイェン・ジェンビン教授は、「食味テストはGM食品を普及させるための最善の方法だ」、それはGM食品をめぐる疑念を一掃すると言う。

 しかし、ことはそれほどうまくは運ばないようだ。武漢の36歳の教師は、キャンペーンは健康リスクや環境影響を心配する批判者を納得させてはいない、「知っていることより知らないことの方がずっと多い。科学者の知識も非常に限られている」と言っているそうである。

 China Exclusive: GM rice taste test quells doubts,xinhua,13.10.21

 中国には健康リスクだけでなく、環境影響を恐れる人々も増えている。ともすれば食品安全への懸念ばかりが強調されるきらいのある日本よりも、GM作物に対する健全な見方が育っているのかもしれない。GM米商業栽培について中国科学者が最も恐れるのは制御不能な害虫の発生のような環境影響や単一品種依存がもたらす食料安全保障のリスクである(注)。

 (注)
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