2.フキ 花粉を出さない雄株 |
![]() まったく花粉を出していない雄株の頭花 |
私の住む付近(福岡県)に咲く フキの雄株には、 花粉を出していないものが、 圧倒的に多くあります。 「雄株なのに、なぜまったく花粉を 出していないのだろうか?」 と ずっと疑問に思っていましたが、 とうとう理由がわかりました。 |
朝日百科「植物の世界」のフキのページに、このように書かれてあるのを見つけました
「野生フキの雄株の中には、・・花粉がつかず、雄しべが褐色の皮膜だけの個体がある」
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確かに、この雄株の小花は 集葯雄しべを見ても 褐色の皮膜だけです。 中を開いて見ても(左側) 花粉が全然出ていません。 また、集粉毛の付近にも、 まったく花粉が見られません。 |
「雌株の中にも・・種子が稔らない個体がある。 このような不稔株の染色体は3倍体である」
「・・3倍体の野生フキの自生地は南の暖かい地方、とくに宮崎・鹿児島に集中している・・」
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どうやら、 「自生地は南の暖かい地方」 ぴったり当てはまります |
「不稔の3倍体のフキは正常の2倍体より萌芽が早く、草勢が強く、食用にする葉柄が長くて太いという優れた性質を持っている。」
なるほど・・、ふきのとうの頃は、かわいくて気がつかないのですが、上の写真のように
花を咲かせる3月頃には草勢が強くて、あたり一面 フキだらけになっていたりしています。
** この3倍体のフキは、私たちの生活の中でも利用されています。 **
愛知早生フキ 今から150年〜200年程前に、愛知県ですぐれた特性をもつ フキが発見されて、栽培化されました。 その株が3倍体の雌株だったそうです。 種子はできませんので、根茎だけの繁殖が繰り返され、品種分化を起こさないままに、遺伝的に整一な品種として現在に至るまで株分けで栽培されています。 尾張フキとも言い現在市場に出回っているのは、 ほとんどがこの愛知早生フキだそうです。 |
みなさんのお近くに咲くのフキ(ふきのとう)の花にも、花粉を出していない株がありませんか? (07.3.3)
【 参考文献 】
・藤下 典之 1994 「週刊朝日百科 植物の世界」 朝日新聞社 Vol.6 1-162〜164