米国EPA バイオエタノール工場大気汚染基準を大幅緩和 生産拡大に拍車

農業情報研究所(WAPIC)

07.4.14

  米国環境保護庁(EPA)が4月12日、トウモロコシやサトウキビを原料とするバイオエタノールを製造する新設施設に対する大気汚染基準を大幅に緩和すると発表した。例えば、微粒子、浮遊有機化合物、二酸化硫黄などの一定のタイプの大気汚染物質は、規制を受けることなく従来の2倍半も排出することが許される。

 EPA Provides Equal Treatment for Ethanol Production Plants,07.4.12

 周辺住民の健康を犠牲に、工場規模拡大の最大の障害の一つを除去し、バイオ燃料の生産・利用の無闇な拡大を打ち出したブッシュ大統領の意向に応えようとするものだ。

 バイオ燃料は、トウモロコシ、サトウキビ、テンサイ、麦などの食料作物を原料とするかぎり、その生産資材生産、栽培・収穫・輸送・加工に使われる厖大な追加エネルギーを計算に入れれば気候変動に対して決して”中立的”なわけではない。その上、食料・飼料・肥料価格 (燐や尿素)の世界的高騰、土壌や自然環境の破壊、水不足の加速などの様々な弊害が指摘されている。しかし、 バイオ燃料ブームも狂気を帯びてきた。もはや誰も止められない。行き先は地獄だ。

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  EPA Boosts Renewable Fuel Use,soyatech.com,4.11

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