EU専門委 猫や犬からのH5N1感染予防措置を勧告 赤レベル・ブレス鶏の運命は?

農業情報研究所(WAPIC)

06.3.3

 ドイツの猫のH5N1鳥インフルエンザ感染の報告を受けたEUの食料チェーン・動物保健常設委員会(SCOFCAH))が2日、現在の知見は家禽以外の動物から人間にH5N1ウィルス感染が起きたことを示していないが、現在の知識と病気の状況に照らし、一定の予防的措置を勧告するのが適切に見えるという声明を発表した。

 Statement of the Standing Committee on the Food Chain and Animal Health

 それによると、アジアで昨年、猫とその他のネコ科動物のH5N1ウィルス鳥インフルエンザが報告されたし、ジャコウネコなどの他の肉食動物でも罹る得ることが示されている。しかし、現在の知見は家禽以外の動物から人間にH5N1ウィルス感染が起きたことを示しておらず、猫のような肉食動物の病気は、このウィルスがもたらす動物と人間の健康のリスクの増加にはつながらない感染の”行き止まり”であることを示唆している。

 犬のような他の肉食動物にH5N1が広がる可能性を確認または排除する情報は今のところない。

 それにもかかわらず、現在の知識と病気の状況に照らし、次の予防的措置を勧告するのが適切に見えると言う。

 こうして、次のことを勧告している。

 ・感染した鳥またはその死体に接触した可能性のある病気の、または死んだ猫は獣医の検分か死後調査を行うべきである。獣医が必要と感じたときには、また獣医当局により与えられる指示に従い、さらなる検査を行うべきである。

 ・飼われている肉食動物、特に猫と野鳥の接触を防ぐべきである、すなわち猫は屋内に留め、犬は繋ぐか、拘束し、所有者のコントロール下に置くべきである。

 ・迷い猫・犬が死んでいるのが見つかったときには、触ってはならず、死後調査とさらなる検査ができるように、獣医当局に知らせるべきである。

 なお、ドイツ消費者保護当局は、猫は屋内に閉じ込め、犬は繋いでおかねばならないと命じている。これは、感染した野鳥が見つかった半径3km以内のすべての地域で直ちに実施された。

 猫のH5N1感染の確認は、ヨーロッパ諸国にパニックを引き起こしているようだ。フランスとドイツの動物福祉団体にはペット所有者からの問い合わせの電話が殺到しており、棄てられるペットの数も急増しているという。

 健康被害を恐れるペット所有者の気持ちは分からないではないが、自分さえ守れればという身勝手も感じる。自分自身は、野鳥が飛来する多くの湿地に囲まれたフランス・アン県の 戸外を歩きまわることで風味が良くなるという赤ラベルのブレス鶏ー青い足と青みがかった血をもつーが消えてなくなることの方を恐れる。今のところはレストランのメニューに載っているが、いずれこんな飼い方はできなくなる、ブレス鶏の持ち味はなくなっしまうだろう。

 French province counts the cost of bird flu threat to gourmet breeds,FT.com,,3.2
 http://news.ft.com/cms/s/f8d2bb66-a991-11da-9f4e-0000779e2340.html

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