ルーマニア 殺虫性GMトウモロコシ・MON810の栽培禁止を検討

農業情報研究所(WAPIC)

08.3.28

   現EU27ヵ国の中の数少ない遺伝子組み換え(GM)作物栽培国であったルーマニアが、EUで唯一栽培を許されたGM作物・MON810の栽培のモラトリアム(一時禁止)に踏み切りそうだ。アッティラ・コロディ環境・持続可能な発展相が27日、国の生物安全保障委員会が4月15日に禁止する可能性の検討を始めた、委員会はMON810の最近の禁止を正当化するためにハンガリーとフランスが使った研究を検討するから、禁止することになる可能性が高いと述べたという。

 Romania set to ban approved GM corn crop,FT.com,3.28
 http://www.ft.com/cms/s/0/51250608-fc50-11dc-9229-000077b07658.html

 EUでは、イタリア、オーストリア、ギリシャ、ポーランド、ハンガリー、フランスの6ヵ国が、それが含む毒が他の生物に有害だとして、既にこの殺虫性GM作物の栽培を禁止している。EUのディマス環境担当委員は、欧州食品安全機関(EFSA)に対してMON810の安全性の再評価を求め、また同種の他の2種のGM作物について、環境への悪影響があり得るから許可しないように求めている。

 なお、EUのセーフガード条項に基づきMON810の栽培を一時禁止するとしたフランス政府の決定は、トウモロコシ生産者協会、モンサント、パイオニアなどの種子企業、一部農業経営者がコンセイユ・デタ(政府法令案の諮問に応じるとともに、最高行政裁判所としての権限を持つ)に対して取り消しを求めていたが、3月19日、コンセイユ・デタが政府決定の有効性を確認した。少なくとも今年、フランスでMON810が栽培される可能性はなくなった。

 Le Conseil d'Etat confirme la suspension de la culture du MON 810,Le Monde,3.20
 http://www.lemonde.fr/sciences-et-environnement/article/2008/03/20/le-conseil-d-etat-confirme-la-suspension-de-la-culture-du-mon-810_1025453_3244.html#ens_id=1019229

 関連情報
 
Btトウモロコシがトビゲラ→水生生態系に悪影響の恐れ 米国の新研究,07.10.11
 EU環境担当相 二種のGM(Bt)トウモロコシ栽培禁止方針を公に確認,07.11.26
 EU環境担当委員 Btトウモロコシ2種の拒否を要請 標的害虫以外の生物に悪影響の恐れ,07.10.27
   フランス政府 新たな科学的事実でGMトウモロコシ栽培禁止へ 長期的影響の一層の評価も必要,08.1.14
  EU環境相 ハンガリーのGMトウモロコシ禁止解除案を圧倒的多数で否決,07.2.21
  EU閣僚 オーストリアGM作物禁止解除を求める欧州委提案を圧倒的多数で否決,06.12.25
  ハンガリー 厳格なGM作物栽培規制法を採択 先行きはなお不透明,06.11.29