農業情報研究所農業バイテクニュース:2012年2月23日

中国 新穀物法制定へ GM作物・食品の管理を厳格に

  2月21日、中国国務院法制弁公室のウエブサイトに、3月末までにパブリックコメントを求める新たな穀物法案が公表された。生産を安定させ、市場の統制と監督を強化することによって穀物の安全性を確保する中国初の法律案といい、穀物生産保護、品質確保のための貯蔵条件の改善の奨励、農薬や重金属に汚染された穀物の加工の禁止、汚染車両による輸送の禁止などに関する諸規定を含む。

 中でも画期的なのが、国民の間に広がる懸念に対応する遺伝子組み換え(GM)食品の管理に関する厳格な法制の制定ということだ。チャイナ・デーリー紙によれば、科学的研究、フィールド試験、生産、輸入、輸出を含むGM種子に関連したすべての活動は国の規制に従って行われねばならないとしている。主要な栽培植物の開発のためのGM技術の使用は前もって承認を受けねばならない。

 中国農業部は2009年、害虫抵抗性の米とトウモロコシの2種のGM作物の生物安全認証を行った。農業部によると、商業栽培を始めるためには登録と生産試験が必要で、これには3年から5年ほどかかる。しかし、この生物安全認証は、GM技術の安全性が多くの国で検証されてこなかったために、中国国民の間に大きな懸念を生み出した。中国におけるGM作物・食品の扱いについては、かねてさまざまな抜け穴が指摘うされてきたが、政府も、GM食品の扱いに慎重にならざるを得なくなったということだろう。ただし、法律は制定されても、実効性がどこまで確保できるか、まったく未知数だ。

 China invites public opinions on grain law draft,Xinhua,2.21
 Draft law on GM food online to solicit comments,China Daily,12.2.23

 関連情報
 
中国にGM米違法栽培が広がる 政府調査が確認の報でGM米論争に火がつく,11.6.22
 中国 消費者の70%近くがGM米に反対 情報不足も一因と専門家(今日の話題),11.2.23
 中国 GM稲・トウモロコシの小規模屋外試験栽培を承認,09.12.18
 中国がGMライス承認?一体何のために?それとも開発研究者の単なる期待?,09.11.28
 その他→http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/gmo/asia.htm#china→中国を参照。