中国 国際価格高騰のなかで食用油輸入が増加 自然災害が拍車

農業情報研究所(WAPIC)

08.7.28

 25日の税関当局の発表によると、中国の今年1月から5月までの食用植物油の輸入量が昨年同期に比べて11.1%増加、350万トンに達した。輸入単価が上がっているために輸入額は94.7%の増加、39億8000万米ドル(4300億円)になる。トン当たり平均輸入価格は1114米ドル、75.2%の上昇という。

 総輸入量の89.6%がパームオイルと大豆油で占められ、それぞれ207万トン(23.4%増加)、113万トン(7.7%増加)だった。65.2%(233万トン)はASEAN諸国からの輸入である。

 税関筋によると、輸入増加は需要増加と国内生産の低迷のためである。昨年の消費量は2250万トンだったが、国内生産は900万トンにすぎなかった。

 今年になってからの自然災害でますます供給不足になった。冬季南部の厳寒と5月12日の地震で菜種を播いた広大な農地が被害を受けた。さらに、昨年は大豆の主産地である黒龍江省が厳しい干ばつに見舞われてもいる。ここでは収量が30%も減ったという。

 China imports more edible vegetable oil at higher cost in 1st 5 months ,xinhua,7.27
 http://news.xinhuanet.com/english/2008-07/27/content_8780151.htm

 社会の不安定につながりかねなない食用油価格高騰を沈静化するために、政府は油料作物増産に懸命だ。しかし、その実現は容易なことではなさそうだ。自然災害による損害の影響も見くびっている恐れがある。

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