欧州議会 有機農業産品に0.9%までのGMO混入を許容する欧州委提案を拒否

農業情報研究所(WAPIC)

07.4.1

 欧州議会が3月29日、有機農業産品として認められる遺伝子組み換え体(GMO)の偶然または技術的に不可避な混入の率の上限を通常産品と同じ0.9%する欧州委員会の提案を拒絶した(324対282、棄権50)。欧州議会は、この上限を検出可能な限界とされる0.1%とすべきことを要求している。すなわち、有機農業産品は基本的にはGMOを含んではならないということだ。

 ただし、EUの決定権限は基本的には加盟国担当閣僚で構成される閣僚理事会が持つ。欧州議会は、一部の問題に関しては理事会と平等な発言権を保障する”共同決定”権限を与えられているものの、農業にかかわるこの問題については諮問的役割しか持たない。”地球の友”等の環境団体はこの日の決定を歓迎しているが(European Parliament votes for organics,FoE Europe,07.3.29)、最終決定は6月の理事会に委ねられることになる。欧州委提案に確固とした反対を表明しているのは今のところイタリア、オーストリア、ギリシャ、ベルギーの少数派にとどまり、欧州議会の議決とは反対の結果となる可能性がある。

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