農業情報研究所グローバリゼーション二国間 関係・地域協力>ニュース2018年6月15日

イタリア EU-カナダ自由貿易協定批准せず 原産地呼称産品等保護が不十分 

 イタリアの新農相が、政府はEUとカナダの包括的経済貿易協定(CETA)を批准しないと語った。イタリアはチーズなど292の原産呼称産品(PDO)、地理的保護産品(PGI)を持つが、CETAで保護の対象になっているのは40品目ほどにすぎない。多くの偽物が世界に出回るリスクがあり、イタリア農民が不利益を被る恐れがある。また、危険な除草剤・グリホサートを使用して生産されるカナダ小麦の輸入が増えるリスクもあるという。

 Italy threatens to scupper EU-Canada free trade deal,Deutsche Welle,18.6.14

 イタリアが批准しないとなると、2011年以来初のEU大自由貿易協定もご破算となる。トランプ保護主義に思わ所から援軍が現れた。

 なお、CETAについては、以下の農業情報研究所記事を参照されたし。

ワロニー議会の反乱 大西洋両岸の政治指導者に測りしれない傷 浜矩子氏の所説を批評し・補強する,16.10.30

ワロニー地域 CETA調印反対を取り下げ CETAは蘇生も傷深し,16.10.28

カナダ—EU経済貿易協定 ワロニーの抵抗で調印できず 地域主権を脅かす包括協定に幕,16.10.27

ベルギー・ワロニー地域が抵抗 カナダ-EU自由貿易協定が瀕死 逆流に立ち向かうは日本だけ,16.10.23

EU-カナダ貿易協定 欧州委が早期調印・実施作戦 各国議会の批准を待たずに仮発効,16.7.6
 
ドイツNGO EU-カナダ貿易協定は違憲 憲法裁判所に提訴,16.5.31