8.めしべと雄しべの高さが異なる花 
(ハナハマセンブリでの観察です)


東京の山口純一氏から、考察:ハナハマセンブリの葯はなぜ捩れるのか? という研究レポートを拝見させて頂きました。 
葯の螺旋に関しましては、私も面白い現象だなぁ・・と常々思っており、大変興味深く読ませて頂きました。 

その折 山口氏と、「めしべの柱頭の高さと葯の高さが異なる花」にも話題が及びました。 
柱頭が高い位置の花は以前から気にかかっていましたので、私も少し観察してみることにしました。





  ハナハマセンブリの
  多くの花では、 
 
  めしべの柱頭の高さと
  雄しべの葯の高さは
  ほぼ同じ高さにあります。


ハナハマセンブリやベニバナセンブリは、夕方に花を閉じて 同花受粉(自家受粉)をするしくみを持っています。
( 詳しくは「 5.ベニバナセンブリの受粉 」をご覧になって下さい。)



  ところが、時に 柱頭が葯よりも
  かなり高い位置にある花が
  みられます。 (右の画像)


  この位置関係の花では、
  夕方に花が閉じた場合には
  同花受粉はできないと
  考えられます。


「 めしべと雄しべの高さが異なる花 」について今回調べてみますと、いくつかの花が観察されました。

     
         1.雄しべの花糸がはじめから短いもの (下の画像1)                       
           (これは、花冠があまり発達していない花の場合によく見られるようです) 

         2.花糸がくねくねと曲がっているために、葯が低い位置にあるもの(下の画像2)
           (上の花の花冠を開いてみたものがこれです)




1.雄しべの花糸が短い



2.花糸がくねくねと曲がっている



3.花糸が葯の下でねじれているために、葯が低い位置にあるもの( 下の画像3 )



3.花糸がねじれて短くなっている





 4.さらに花(株)が貧弱な場合には、
   めしべの柱頭だけが、極端に
   花から飛び出しているものも
   見られます。

   変わった花の印象を受けます。

   この位置では、同花受粉はできません。

   同花受粉は避けて、他家受粉のみを
   目指しているように思えます。


   なにがなんでも、他家受粉で
   種子を作ろうとしているようにも
   見えます。

  


  上の右側の2つの花を開いてみますと
  めしべがかなり長くなっています。
  (左の2つの花)

  花粉はすでに出ているにもかかわらず
  柱頭には、2つの花とも花粉は
  着いていませんでした。

 
  一方、めしべと雄しべが 
  ほぼ同じ高さの花(右の2つの花)では

  花粉が柱頭にたくさん着いていて
  同花受粉しているのが見られました。


  (めしべの長さは様々な長さのものが
   見られるようです)

    めしべが高い位置の花            めしべと雄しべがほぼ同じ高さの花


          なぜこのように、「 めしべと雄しべの高さが異なる花 」を咲かせるのでしょうか?
 
          花や株に余力が無い場合や、もうすでに受粉を終え種子をしっかり確保している場合などには、
          このように同花受粉を避ける花を咲かせ、他家受粉のみをめざすしくみを持っているのかも・・・と
          推測してみましたが、よくわかりません。 

                                                                          2007.7.15

          このような仕組みについてご存じの方や、何かお気づきの点などありましたらBBSにて教えて頂ければ嬉しく思います。


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