4.ベニバナセンブリとハナハマセンブリの比較


この2種はよく似ていますが、よく観察すると、明らかに違う種であることがわかります。 


決定的な違いは一年草二年草という点で、生活史が異なっています。 

形態の大きな違いは根生葉です。 ベニバナセンブリは二年草で、根生葉がとても長くて大きく、よく目立ちます。 そして、ベニバナセンブリが咲いている付近には、来年に咲く根生葉がロゼットを形成し、いくつも確認できます。 また、根生葉は冬でも枯れずに残っていて、ロゼットで冬を越します。

ハナハマセンブリは、根生葉は花の時期には、多くが枯れています。 (残っているものもあります)  また、こちら(福岡県)ではロゼットで冬を越すことはしない、夏型一年草のようです。 

識別するときは、まず「根生葉がロゼットを形成しているかどうか」が、大きなポイントです。 
根生葉がみられる場合には、その長さや形、付近にロゼットが生えていないか等も、有力な手がかりになると思います。

 このページでは、根生葉以外の点も比較してみましたので、どうぞご覧下さい。   
  (ただし私の見た範囲に限ったものですから、他の地域や環境の違っているものに当てはまるかはわかりません)

比較した点
ベニバナセンブリ
二年草


ハナハマセンブリ
一年草

 1. 花 


直径 11〜13mmと大きい
花の色はやさしいピンク色



直径 9〜11mm
花の色がやや濃くてはっきりしている
花の大きさは、
かなり違っていますので、
区別点になると思います


花冠裂片がふっくらしている



花冠裂片が細く、
中心の白がわりあい目立つ

2.花がつぼんだ状態

        




つぼみはふっくらしています




つぼみはほっそりしています



花冠裂片(a):花筒(b)= ほぼ1 : 1

1番左のものは咲く前なので 比率は1:1ではありません



 花冠裂片(a):花筒(b)= 1 : 1.3〜1.5 
 3.萼と花筒の比
       (花期)


萼と花筒の長さの比が区別点とされる図鑑もありますが、比は一定せず、区別点にはなりません



  

花筒の 5/10〜9/10


  

花筒の 5/10〜9/10
 4. 萼と花筒の比
      (果実期)


萼と花筒の長さの比は区別点にはなりません



花筒の約半分の長さ




花筒の約半分の長さ
 5. 花期の根生葉
     

根生葉は形や様子がはっきりと違っていますので、明確な区別点です


長い楕円で密につく、大きく目立つ



花期には多くが枯れている

(幼体〜花期までの間には見られる)



 あたりには、根生葉がロゼットを形成
したものが、いくつも確認できる



根生葉が残っているものもあるが、形態が違う

 6. 茎葉
幅は狭く、内側に巻きぎみ
縁はやや波をうつ




濃い緑色をしています

幅は広く、外側にそる感じ
縁は波打たない




ややうすい緑色をしています


長い楕円形〜へら形



先がとがった楕円形〜倒卵形

 

  7.茎と
   茎葉のつきかた





葉が離れてつくか、くっついているかは、区別点にはなりません

葉は離れてつくものもあれば、


上部の葉ではくっついているものもある



葉は離れてついているものもあれば、


ほとんどくっついているものある


 8.発芽まもない時期
 
    
発芽して約1ヶ月後 



長四角っぽい楕円形の葉 


春(3月)と 秋(8月下旬)の
2回発芽する




菱形っぽい楕円形の葉


こちらでは春(3月)にのみ発芽
秋には発芽は見られなかった

  9. ロゼット


冬の間、根生葉はロゼットを形成し越冬する


フィールドでは冬期には根生葉は見あたらず
ロゼットで越冬はしていない様子です。

(夏型一年草と思われる)
 10.花 粉

ラグビーボール状の花粉


俵状の花粉
 11. 種子


大きさが明らかに違います

ベニバナセンブリ(左) 約 0.3mm     ハナハマセンブリ(右)  約 0.2mm
(種子をそれぞれ20個並べて、測定しました)→詳しくはこちら



スケールの1目盛りは0.2mm


ハナハマセンブリ・ベニバナセンブリ情報のページを新しくつくりました。

まだまだ不十分な点がありますので、今後も観察を続けていく予定です。
なにかお気づきのことがありましたら メールまたはBBSでお知らせ下さい。



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