インドネシア農業省 大量の泥炭地のオイルパーム・プランテーション転換許可を準備

農業情報研究所(WAPIC)

09.2.14

  インドネシア農業省が、何百万fもの泥炭地をオイルパーム・プランテーション造成のために掘り返すことを認める省令を準備している。農業省研究開発部長が、泥炭地地域をオイルパーム・プランテーションに変える仕組みを詳しく説明する省令を起草中と語った。省令は今年中に出される見込みだ。

 彼は12日、国家気候変動委員会が組織した農業の[気候変動への]適応をめぐる会合の傍らで、次のように語ったという。

 「わが国はなおオイルパーム・プランテーション用地を必要としている。我々は率直でなければならない。この部門は人々の経済の主要ドライバーとなってきた」、

 「我々は、泥炭地の転換は安全だと確信させるために、強硬派活動家も含む関係者と省令を議論してきた」、

 「我々は、海外のバイヤーや国際社会からの非難をかわすために、環境に優しい管理を促進すると約束する」、

 「泥炭地は土地を開くときに[温室効果ガス]を排出するだけで、新たな木[つまりオイルパーム=アブラヤシ]が植えられたあとは、これを再吸収する」。

  Govt to allow peatland plantations,The Jakarta Post,2.13
  http://old.thejakartapost.com/yesterdaydetail.asp?fileid=20090213.D04

 これは国際社会と真正面から衝突する。

 気候変動との戦いの一環としての[泥炭地]森林破壊抑制で国際社会からの援助を引き出そうとするユドヨノ大統領は、なお泥炭地管理に関する大統領令を準備中という。2007年の大統領令草案は、国中の泥炭地の利用の監督強化を要請しているという。農業省は、国際社会とだけでなく、大統領とさえ衝突することになる。

 こんな省令の実施となれば、森林保全を口実とする援助は途絶えるだろう。EUは”2008 1 月に泥炭地であった土地から得られた原料を使って作られた”バイオ燃料は認めないと決めたから(EU再生可能エネルギー利用促進指令のバイオ燃料持続可能性基準(仮訳),08,12.26)、新たに開発されるオイルパーム・プランテーションは世界最大のバイオディーゼル市場、あるいはバイオディーゼル原料市場からも締め出されるだろう。

 しかし、パームオイルの最大の使いみちは食用油だ。日本も含む海外の消費者は、健康によいなどとありがたがり、なお大量のパームオイルを買い続けるのだろうか。

 

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