TPP今国会承認が確実に 民進沈没も間違なし 日本農業・農民はアメリカ議会に頼むほかなし 

農業情報研究所グローバリゼーション二国間 関係・地域協力ニュース2016年11月1日(11月2日改題)

  民進党が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の承認案・関連法案を4日の衆院本会議で採決することで自民党と合意した。これで今国会におけるTPP強行採決はなくなった。

 現在の国会の勢力図からすれば、TPP及び関連法案の今国会承認は確実、民進党のことなどどうでもいいようにみえる。しかし、合意の上での採決であれば、民進党がTPPを、積極的にではないとしても、容認したということになる。今後の野党共闘も、今夏の参院選において東北地方で上げたような戦果を上げることはなくなるだろう。TPP承認で、野党頼むに足らずの雰囲気が一気に広がるだろう。

  しかし、これも当然の成り行きかもしれない。そもそも民進党はTPP参加の言いだしっぺだ。この手の地域協定に対す原則的賛成者なのだ(臨時国会開幕 TPPで徹底抗戦と言う民進党 足もと腐って芽も出ない,16.9.26)。だから、この手の協定の根本的問題を問うヨーロッパのCETA(カナダ-EU包括的貿易協定)・TTIP(EU-米国貿易投資協定)反対者のような批判精神は全く持ち合わせていない。

 グローバリゼーションの時代は終わったとまで言わせたベルギー・ワロニー地域のCETAへの抵抗(注)に無関心なのもそのためだ。だからこそ、TPPの根本問題(→多国間主義、無差別・最恵国待遇に引導を渡すTPPに大筋合意 戦前回帰を許してはならない,15.10.6)、TPPが日本の米農業にどんな影響を及ぼすのかという基本問題(例えば、米輸入の動向と展望─TPP最終合意の米への影響─ 農林金融20164参照)、議論を尽くせばいつ終わるか分らない審議をあっさり打ち切り、3日後の採決に合意したのである。

 TPPをめぐる国会での論議は、もはや聴く気もしない。日本の農業・農村・農民は、いまやアメリカのTPP批准失敗に希望を託すしかなくなってしまった。

 (注)

 ワロニー議会の反乱 大西洋両岸の政治指導者に測りしれない傷 浜矩子氏の所説を批評し・補強する,16.10.30

 ワロニー地域 CETA調印反対を取り下げ CETAは蘇生も傷深し,16.10.28

 カナダ—EU経済貿易協定 ワロニーの抵抗で調印できず 地域主権を脅かす包括協定に幕,16.10.27

 ベルギー・ワロニー地域が抵抗 カナダ-EU自由貿易協定が瀕死 逆流に立ち向かうは日本だけ,16.10.23