デンマーク、GM共存ルールを制定、GM作物栽培者には補償基金料金

農業情報研究所

04.4.2

 デンマーク農相がGM作物と非GM作物の共存のための新たなガイドラインを提出した。GM作物栽培者は、GM作物に作物を汚染された非GM農民に補償するための基金として利用される1ha当たり74デンマーク・クローネ(約1,300円)の料金を払わねばならないという。

 GM作物を栽培する農民は、栽培を始める前に許可を得なければならない。農民は栽培を許可されたことを証明せねばならず、認可書の提示を要求される。栽培計画は近隣農民に知らせねばならず、要求される隔離距離を守る。しかし、安全ルールに違反した場合にのみ、近隣農民への補償責任を負う。

 ただ、デンマーク国民のGM作物への反対は強く、少なくとも5年間は、実際にGM作物が栽培されることはないだろうと見られている。反対が沈静すれば、シュガー及び飼料ビート、ナタネ、トウモロコシの栽培が予想される。

 この共存ルールにはドイツ農民が興味を寄せているという。ドイツの閣議は2月、キュナースト農相の共存ルール草案を採択した(参照:ドイツ、GM作物・食品承認へ、政府与党が栽培・販売承認法案に合意,04.1.13)。だが、ドイツ農民連盟(DBV)は、ルールを守っていても偶然に汚染された近隣農民への補償の責任を負わせるこの共存ルールの下では平和的共存はできないと、農民にGM作物栽培を勧告するのを拒否している。

 EUは各国に独自の共存ルールの策定を求めているが、未定の国が大部分である。

 ニュース・ソース
 Denmark sets out GM coexistence rules,Soyatech.com(from Agra Europe),3.30

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