世界食料日誌 2008−2012年 農業情報研究所(WAPIC)
2012年 2011年 2010年 2009年 2008年 12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月
12月20日
ウクライナが米国にのトウモロコシを輸出?! 世界穀物地図が激変?
ウクライナ農相が、ウクライナは干ばつで減収した米国へのトウモロコシ輸出を求めていると語ったそうである。
「これはわが国製品が高品質であらゆる基準を満たすことの非常に重要な確認になる」、ウクライナは今、衛星基準で米国との合意を試みているという。
Bloomberg:
Ukraine seeking to export corn to US, Farm Ministry says,Kyiv Post,12.20
世界最大のトウモロコシ輸出国に輸出とは。半世紀来の米国干ばつで、世界穀物地図は激変しようとしているのだろうか。専ら米国トウモロコシに頼ってきた日本、対応の準備はできているのだろうか。
12月10日
ミシシッピの低水位で輸出穀物等輸送能力が激減 農産物生産者価格を脅かす
中西部の歴史的干ばつと灌漑・水力発電用の水の貯水を増やすためのダムからの放流の削減でミシシッピ川の水位が危機的なレベルにまで低下、中西部の穀物や大豆を湾岸輸出港まで運ぶ水運能力が激減している。今のペースで水位低下が進むと、12月22日までに航行不能になり、穀物等輸出や肥料等の中西部への搬入もストップしてしまう。輸出ストップは穀物等生産者価格の押し下げにつながる。運送業者や農業者団体はダムの放水増加や航行の邪魔になる川底の岩の爆破などをオバマ政府に要求しているが、ノースダコタ、サウスダコタ、カンザス、モンタナの政治家はミシシッピの流量制限の継続を要求している。
Low
water levels threaten US farm goods,FT.com,12.6
干ばつによる収穫減少と小麦輸出急増による域内穀物供給の減少で、7月2日に始まった現販売年度のEUのトウモロコシ輸入が史上二番目の記録的レベルに達することになりそうだ。EUはすでに360万トンの輸入ライセンスを出した。国際穀物委員会(IGC)によると、今季の輸入量はUSDAの推定を85%も上回る1200万トンに達しそうだ。ただし、遺伝子組み換え品が多いアメリカからの輸入は増えない。ウクライナや南米からの輸入が増えるだろう。
European
Corn Imports Seen Expanding to Second-Highest on Record,Bloomberg,12.4
中国 ウクライナのトウモロコシを初輸入 中国のトウモロコシ輸入は10年以内に年1500万トンにも
ウクライナ最大の農産会社・Ukrland Farmingが中国にトウモロコシを輸出する。会社は2012-13年に50-70万トンを中国に輸出する計画。輸出は年末にも始まる。ウクライナからの輸入は、99%をアメリカに頼る中国の輸入元の多角化を助ける。
中国のアナリストは、中国のトウモロコシ輸入量は、今後10年のうちに1500万トンに達すると見る。2011年には175万トンだったが、今年は500万トンに達すると推定される。
China buying
Ukrainian corn for first time,xinhua,12.7
11月13日
ウクライナと中国が11月9日、トウモロコシのバイオセキュリティ要件で合意した。これにより、ウクライナは今年末までには中国にトウモロコシを輸出することがが可能になる。ウクライナは近々、トウモロコシ供給に関心があり、バイオセキュリティ規準を満たすウクライナ企業のリストを中国に提出する。
ウクライナ農業省は、2012/13販売年度のウクライナのトウモロコシ輸出能力は1250万トンと推定、そのうち300万トンは既に外国市場に引き渡されたと言う。
Ukraine
could start corn exports to China by late 2012,Kyiv Post,12.11.12
中国の世界トウモロコシ買占め作戦(→ 中国 世界のトウモロコシ買占めへ?)、着実に一歩を踏み見出したようだ。ただし、ウクライナからの安定供給も、いつまで確保できるかは分からない(→ ウクライナ 干ばつで穀物が大幅減収 水不足に弱いトウモロコシは去年の75%)。
10月27日
ウクライナ 干ばつで穀物が大幅減収 水不足に弱いトウモロコシは去年の75%
ウクライナ農業政策・食料省が10月26日現在、国の穀物収穫面積の93%に当たる1370万ヘクタールから4100万トンを収穫したと発表した。穀物の1ヘクタール当たり収量は29.9セントネル(1セントネル=100キログラム)で、去年の86%ほど、今年の干ばつ被害の大きさが知れる。トウモロコシは340万ヘクタールから1460万トンを収穫したが、これは目標の77%にすぎず、1ヘクタール当たり収量は43.1セントネル、去年は57.5セントネルだたっというから25%もの減少だ。50年来の干ばつに襲われたアメリカ中西部・コーンベルトでも大減収
(USDAの10月16日現在の推定でエーカー当たり122ブッシェル、過去5年平均156ブッシェルの78%)、トウモロコシがいかに干ばつに弱いかを示ししている。
Ukraine harvests 41 million tonnes of grain from 93% of fields by October 26,Kyiv
Post.10.26
温暖化の進行ともに干ばつの頻度と強度は増す。大規模トウモロコシ単作農業(モノカルチャー)とこれに飼料を依存する畜産の危機が迫る。アメリカでは飼料不足と飼料コストの上昇で、肉牛・乳用牛・豚の大量処分が続く。畜産業の大幅縮小と畜産食品の値上りは避けられない。
Hurt: Drought Devastating to Beef Industry; Herd Numbers Dropping,soyatech.com,10.26
US farmers reel from soaring feed prices,FT.com,10.25
Pork Supply Shrinks to Lowest Since
1975 on Drought: Commodities,Bloomberg,9.25
Cattle
prices will continue to rise,Cattle Network,10.24
Milk-Cow
Drought Culling Accelerates as Prices Jump: Commodities,Bloomberg,10.9
アメリカ、ロシア、ウクライナを襲った今年の干ばつは、来る日も来る日も肉を食べないと飽き足りない肉食文化の終焉を予示することになるかもしれない。
9月27日
ロシア いかなる穀物輸出制限もありえない
シカゴなどでの取引に見られる思惑に反対するし、それには何の根拠もないとドヴォルコーヴィチ農業担当副首相
Export Ban
Ruled Out(Reuters),Moscow Times,9.26
9月20日
トウモロコシ価格が史上最高レベルに高騰するなか、中国がウクライナからのトウモロコシ調達に乗り出すようだ。ウクライナは、年々およそ300万トンのトウモロコシを供給するのと引き換えに30億ドルのローンを引き出す”loan-for-crops”協定を中国と結ぶ。ウクライナ農相は語るところでは、中国輸出入銀行との協定は10月半ばに調印される。中国は毎年約300万トンのトウモロコシを輸出時の市場価格で供給するように求めている。他方、ウクライナは中国が提供するローンを中国の農業技術・除草剤・殺虫剤の購入に使うという。
中国は増大する飼料需要を満たすために、カーギルなど穀物メジャーを通じて米国、ブラジルなどのトウモロコシ輸入を増やしてきたが、米国の今年の干ばつは将来の安定確保への不安を募らせることとなった。原油等の原材料確保のために使ってきた財力を食料の確保のためにも使おうということだろう。
Ukraine
agrees $3bn loan-for-corn deal,FT.com,12.9.20
わが国輸入業者も調達先の多元化に動いているが、中国が本気で囲い込みを始めれば太刀打ちは難しい。輸入先の多元化よりも、飼料原料の多元化(飼料用米の活用など)にこそ注力すべきときだろう。
9月11日
イギリス:飼料コスト上昇で養豚農家撤退が続々 豚肉も贅沢品に
イギリスの養豚農家が飼料コストの上昇のために豚生産から撤退している。動物福祉のためのコストも含めた生産コスト上昇による養豚産業の縮小は近年の一般的傾向だが、今年はアメリカの干ばつによる大豆の価格高騰がこれに拍車をかけた。スーパーも消費者の金詰まりを考えると、簡単に値上げとはいかない。農家は、一頭売るごとに損が出るからやっていられないということになる。全国養豚協会によると、豚肉生産はクリスマスまでに最大で20%減る恐れがある。これはイギリスだけのことではない。アメリカをはじめ、世界中で起きている。イギリス伝統のベーコンも、なかなか食べられない贅沢品になるかもしれない。
Pig
farmers quit as feed prices soar,FT,9.10
米国の干ばつに発するトウモロコシ・大豆等の国際価格高騰は、途上国というより、肉食先進国の食卓を直撃するのかもしれない。
9月10日
中国の米輸入が急増 中国米市場に何が起きているのか? ことによると世界食料危機の引き金に
ベトナムの8月の米輸出が、前年同期を33%も上回る92万8000トンという記録的レベルに達した。平均輸出価格はトン当たり443ドルで、8月初めに比べて40−45ドル上がった。
主要輸出先は中国、アフリカ、マレーシア、インドネシア、キューバだが、中でも中国が最大の輸出先となった。中国は今年、8月までに140万トンを(ベトナムから))輸入した。ベトナム農業・農村開発省によると、ベトナムの対中国米輸出量は、前年同期の5.2倍にも増えた。中国からの注文は今年初めから増え始めた。増加が止まる気配はない。中国の米価がベトナム米より高くなったからのようだ。産業貿易省の専門家は、中国の米価は昨年より7−19%くなっていると言う。
Rice exports reach new
levels,VNN,9.8
中国の米生産(国内供給力)が減ったわけではない。中国米市場に何が起きているのか、中国側からの情報はまったくない。しかし、中国が国際米市場で大きな役割を演じるようにのなると、トウモロコシや大豆の歴史的高騰にもかかわらず国際米価が落ち着いているために今は発現していない「世界食料危機」も避けられなくなるかもしれない。
7月28日
干ばつによる穀物不作 アメリカだけではない ロシアでも高まる懸念
ロシア農業省が26日、2012年のロシアの穀物収穫が干ばつで大損害を受けつつあると発表した。最初に収穫が完了した最南部の重要農業地域であるクラスノダール地方の収穫量は昨年のおよそ3分の1ほどという(昨年の900万トンに対して500万トンという報道もある。いずれにせよ、大幅減収だ)。
Drought ruining crops in Russia,UPI,7.26
別の報道によると、干ばつに関連した非常事態を宣言する地域(州)が増えており、今年の公式収穫予想が日に日に楽観的にすぎるように見えてきたという。27日には、昨年は国で5番目の穀物生産地域であったアルタイ共和国が非常事態宣言を出した。
先週、農業省は今年の収穫予想を、豊作だった昨年を10〜15%下回る8000万〜8500万トンに引き下げた。しかし、8000万トンを下回るという予想が多い。モスクワのアメリカ・メリルリンチ銀行のエコノミストによると、国全体の現在の収量は昨年同期に比べて30%少ない。
破滅的干ばつに襲われた2年前、政府の収穫予想修正は遅かった。予想を8500万トンから7000〜7500万トンに切り下げたのが8月3日、その二日後、プーチン首相(当時)が穀物輸出禁止を発表した。それが小麦をはじめとする穀物価格の世界的急騰につながった。
今年はどうか。ロシアの年間穀物消費量は7200万トンだから、収穫予想がこれを下回れば輸出が禁止されることになろう。農業省は、今年は輸出禁止の計画はなく、1600万トンの輸出を維持すると言っている。ただ、先のメリルリンチのエコノミストは、政府が国内市場を価格急上昇から守らざるを得なくなれば輸出禁止となるだろう、すでに食料インフレが始まっていると言う。
大規模森林火災の引き金ともなる焦げ付くような天候は、ロシア南部とヴォルガ地域だけでなく、収穫が遅いウラル南部や西シベリアにも広がっているということだ。
Harvest
Forecasts Fall as Drought Hangs On,Moscow Times,7.27
ロシアはWTO加盟が認められたばかり、WTOルールに縛られ、穀物禁輸には踏み切れないだろうという見方もある。しかし、ロシア政府は、間違いなくWTOよりも国内危機回避を優先するだろう。その時は、ロシア、ウクライナ、カザフスタンからのいわゆる「黒海小麦」に依存している世界最大の小麦輸入地域である北アフリカ、中東が再び直撃を受けるだけでなく、すでに2年前のロシアの禁輸後のピーク近くに高騰している世界小麦価格(主要穀物・大豆・菜種の国際価格の推移)のさらなる高騰によって、日本の消費者も苦しむことになるだろう。トウモロコシ急騰によって配合飼料原料の飼料用小麦への切り替えを進める日本飼料・畜産業界(Corn
Imports by Japan at 26-Year Low as Buyers Turn to Wheat,Bloomberg,12.7.27)も直撃を免れないだろう。
7月26日
大手食品メーカーの「明治」が、乳牛の飼料となる穀物の高騰などを背景に、原料となる牛乳の価格が上昇したことを受けて、ことし9月から2品目の家庭用バターをする。値上げの幅は15円、率にして、4%前後の引き上げとなり、値上げを行うのは去年10月に続いて2年連続となる。。
今回の値上げについて会社側は、乳牛の飼料となるトウモロコシなど穀物価格の高騰を背景に、酪農家の経営が厳しくなっていることから、北海道の生産者団体が加工用の牛乳の価格を値上げしたためと説明している。
乳業メーカー大手では、「雪印メグミルク」や「森永乳業」も、牛乳価格の上昇への対応を検討しているということで今後、乳製品の値上げの動きが広がることも予想される。
明治
家庭用バター値上げへ NHKニュース 7.2
インドネシア:大豆輸入関税の一時停止へ テンペ・豆腐メーカーが原料高で製造停止
豆腐とテンペのメーカーが大豆価格の高騰による生産コスト急騰に抗議、製造を一時停止したのを受け、インドネシア政府が5%の大豆輸入関税の賦課を一時停止する。豆腐、テンペは大豆を原料とし、米と一緒に食べれらる必須食品で、重要な蛋白源。インドネシアは必要な大豆の70%を輸入に頼る。米国の猛暑と干ばつで輸入大豆が高騰、大豆の国内価格は過去3週間で33%も値上がりした。そのために、一部メーカーが生産の一時停止に踏み切った。
ndonesia
Suspends Soybean-Import Tax as Tofu-Makers Strike,Bloomberg,7.25
韓国:小麦・大豆の輸入関税一時停止を考慮 国際価格高騰によるインフレ懸念払拭のため
韓国j農相が25日、食料価格高騰で高まるインフレ圧力を封じ込める政策の一環として、過去数週間の間に世界価格が記録的の高騰した小麦と大豆の輸入関税を一時停止することを考えていると明かした。現在は米に限られている国家緊急備蓄品目に小麦、大豆、トウモロコシを加えることも考えているという。
S. Korea mulls no duties on wheat, bean
imports(Yonhap),Korea Times,7.25
トウモロコシ高騰 米国食肉産業に米国産→ブラジル産切り替えの動き
米国の干ばつによるトウモロコシの高騰で、豚肉のトップ生産者であるスミスフィールドを含む米国食肉企業が、米国コーンベルト産の飼料より安上がりになったと、ブラジル産トウモロコシ輸入の手配をしたということだ。
US
buyers turn to Brazil for cheap corn,FT.com.12.7.23
世界食料危機再来?
シカゴ商品取引所のトウモロコシと大豆の先物相場が世界食料危機の最中にあった08年のピークを連日超えている。小麦はブッシェル12ドルを超えた08年のピークにはまだ遠いとはいえ、18日にはロシアの禁輸等による高騰時のピークを超え、08年4月以来初めて9ドルを突破した。一部に07−08年の世界食料危機の再来を恐れる声も出始めたようだ。
ただ、これについては、なお慎重を要する。というのは、07−08年の世界食料危機、アフリカ、中米、アジア諸国で起きた暴動の大きな要因となったのは、タイ・タクシン政権の米価政策を発端とする国際米価の暴騰であった。現在の国際米価は06−07年に比べれば倍のレベルにあるとはいえ、インドやベトナム、カンボジア等の増産による供給力増強で、トン1000ドルを超えた08年のピークに比べると大幅に安い600ドル程度(タイに匹敵する輸出国となったインドやベトナムの輸出価格はこれより一段と安い)にとどまっている。世界各地で起きた米騒動の再来は予想しがたい(モンスーンの遅れによるインドの米の減収が懸念されているが(Slow
monsoon threatens India crops,FTcom,7.19)、その影響はまだ見極めがたい)。
ただ、トウモロコシや大豆に依存する家畜飼料→肉・卵・乳製品や食用油の値上りは必至で、今後の推移によっては小麦に依存するパン、麺類などの食品の値上りもあり得るだろう。小麦についてはアメリカのみならず、ロシアやウクライナの干ばつによる不作の予想も出始めており、これらの国が再び禁輸や輸出規制に踏み切ることもあり得るからだ。これらを輸入に頼る日本にも、何らかの影響が及ぶのは避けられないないだろう。
世銀・IMF 食料・栄養に関する開発目標ために一層の貿易自由化を
世銀とIMFが4月20日、昨今の食料価格の国際的乱高下が国連ミレミアム開発目標(MDGs)の食料と栄養に関する目標の達成に向けての進捗状況に深刻な遅れをもたらしていると指摘する「グローバル・モニタリング・レポート(GMR)2012」を発表した。
世界銀行のジャスティン・リン・チーフエコノミスト兼開発経済上級副総裁は、「食糧価格が高騰したり乱高下すると、健康や教育に長期的な悪影響が及ぶだけでなく、消費者の購買力が損なわれ、何百万もの人々が貧困と飢餓から逃れることができなくなるなど、MDGsのうち多くの目標の達成が阻害されることになる」、「栄養はMDGsの中でも忘れられたテーマの1つであり、食糧価格の乱高下には最優先で取り組まなければならない」と述べている。
レポートは、「農家による増産を促す農業政策の実施」をはじめとする「食糧価格の急騰に対する国やコミュニティの抵抗力強化の方法について」具体的に詳述する。これらの方法の中でも強調されるのが「食糧市場へのアクセス向上を図る貿易政策の策定」、すなわち貿易自由化である。
世銀プレス・リリース日本語版:食糧・栄養に関する開発目標に遅れ-IMF・世界銀行報告書
このためにわざわざ1章(第4章)を設け、「貿易自由化は国の食料市場を国内ショックから保護する・・・」、「一層の貿易の奨励は食料安全保障を促進することができ、これ(食料安全保障)はWTOのドーハ・ラウンド交渉の完結によって実現される一層開放的で、ルールに基づく多角的貿易体制を必要とする」と言う。
Chapter
4. Using Trade Policy to Overcome Food Insecurity
だが、世銀・IMFが主導・強要した貿易自由化・規制緩和・撤廃―ネオリベラルな農業軽視―こそ今日の問題の根源ではなかったのか。それこそ途上国の「農家による増産を促す農業政策」の対局に位置したのではなかったのか。世銀・IMFは
、多国籍企業による世界食料市場支配と農産商品の金融商品化をプッシュすることで、開発目標を一層遠のけるだけだろう。
世界中で生産される食料の30-50%が食べられる前に捨てられている
残さず食べても飢える子どもたちを救えるわけではないが、どこでも聞かれる母親の陳腐な忠言が農場から食卓までの食料廃棄物を減らし、環境を助け、増大する世界人口を養うのを容易にするかもしれない。確かなデータはなお収集中だが、今週のシカゴでのロイター食料農業サミットに集まった専門家は、世界中で生産される食料の30-50%が食べられる前に捨てられていると推定したそうである。
Clean your plate,
save the world?,Reuters,12.3.15
イラン アメリカ小麦を異例の買付 欧米の制裁によほど窮す?
USDAが1日、イランがアメリカ小麦12万トンを購入したと報告した。イランは2月にも、パキスタン、ロシア、ドイツ、カナダ、ブラジル、オーストラリアから合わせて300万トンの小麦を買っている。今回のアメリカ小麦のイランへの販売は、厳しい干ばつ年だった2008年8月以来最大となる。貿易業者に間に戸惑いが広がる。一部穀物メジャーはよほど困っているのだろうと推測するが、カーギル、ブンゲ、ADMは疑の目で見ているという。
Iran buys US wheat worth $46 million(Reuters),Trade Araba,12.3.2
世界最大のトウモロコシ輸入国日本、飼料小麦輸入が急増 飼料コスト削減を求め
日本の今年の飼料小麦輸入が4倍にも増え、2001年以来最高になりそうだ。日本農水省担当者は、3月31日に終わるこの1年の飼料小麦輸入量は前年度の11万2000トンから43万トンに増え、2001年度の47万3000トンを上回るだろうという。ロシアとウクライナが輸出制限を緩める一方、国連は史上最大の世界の収穫を予想していることから、今年の小麦シカゴ先物相場は25%下がるだろう。飼料小麦の日本への価格は米国トウモロコシよりトン当たり50ドル安くなる可能性がある。地震と津波による被害から回復しつつある日本の飼料メーカーは、トウモロコシと小麦の購入コストの拡大するギャップの恩恵に浴することになろうという。
Japan
to Purchase Most Wheat in a Decade as Corn Costs Gain, Ministry Says,Bloomberg,11.25
一種の飼料革命の端緒かもしれないが、飼料輸入に頼る穀物飼育からの脱却という本当の意味での飼料革命は、原発事故による飼料作物の放射能汚染の恐れから遠のいてしまった。
「農産物市場情報システム」(AMIS)第1回リポート
FAOが先月28日、「食料価格乱高下」に取り組むためのG20 パリ農相会合(2011年6月22〜23日)で立ち上げが決まった「農産物市場情報システム」(AMIS、Agricaltural
Market Information System)の第1回リポートを発表した。
http://www.fao.org/fileadmin/templates/worldfood/images/AMIS_MARKET_REPORT_NO_1.pdf
AMISは、「食料価格乱高下」を防ぐために肝要な「市場の情報と透明性の改善」を目的とする、供給・需要・在庫に関する正確で・タイムリーな情報を提供するシステムであるとされる。ただし、対象品目は、基本的には国際主要商品4品目―麦、トウモロコシ、コメ、大豆―に限られる。食料価格高騰からくる食料危機を回避するための手段としては限界がある(西アフリカ諸国の米を除けば、サブサハラ・アフリカ諸国の穀物輸入依存度は概して低く、これらの国際価格高騰は食料危機に直結しない。これらの国の食料危機は、多くの場合、干ばつ等による地域の食料作物の極度の減収からくる)。
その上、G20農相会合ではフランス・サルコジ大統領が「農業市場は世界のすべての市場の中で最も透明性の低い市場です。・・・生産および消費の見通しはおろか、在庫の状況すら、だれも全体像を把握していません。入手可能な唯一のデータはアメリカ農業省のデータで・・・この透明性の欠如が価格急変動を助長しています」とぶちあげたが、第1回リポートを見る限り、データ出所はアメリカ農業省(USDA)とシカゴ商品取引所に限られている。この程度の情報なら、いままでも大して苦労することもなく得られたものだ。これで「乱高下」が防げるとも思えない。
なお、11月3日、FAOは恒例の世界食料価格指数を発表した。10月の指数は216ポイントでで9月から9ポイント(4%)下がった。ピーク(2011年2月)の238ポイントと比べると9%も下がった。指数は6月以来下がり続けている。基本的には、世界的な経済後退による需要の減退の影響であろう。
http://www.fao.org/worldfoodsituation/wfs-home/foodpricesindex/en/
最近、人口増加で増える食料需要を満たすための食料増産の必要性が強調される。こうした主張の背後には、まさに国際主要商品の大規模生産・販売(輸出)にかかわる一握りのビジネス(バイテク企業をフ含む)を後押する意図が透けて見える。食料危機の回避には、AMISとはほとんど無関係な小農民の生産の強化が不可欠である。
インドネシア コメ不足と米価高騰の脅威 タイ新政府が前政権下の輸出契約を破棄
インドネシアがコメ不足と米価高騰の恐れに揺れている。タイ側からの報道が全然得られないので真偽は確かめられないが、インドネシア側からの報道によると、新たな米価保証計画を立ち上げたジアラック(タクシン元首相の実妹)タイ政府が、米価形成を市場に委ねていた前アピシット政権がインドネシア政府と結んだ30万トンの輸出契約を破棄したからだ。タイ政府は、この契約価格では安すぎ、インドネシアに売るわけにはいかないと言っているそうである。インドネシアの側からすれば、国内在庫を確保し、価格を安定的に維持するために結んだ契約だ。農漁民団体は、契約廃棄が米価高騰を引き起すと恐れる。インドネシア政府はタイ以外の国から輸入でないかと、来週、インドとの交渉に乗り出すという。
フィリピン、西アフリカ、中米諸国を深刻な食料危機に陥れた08年の国際米価”暴騰”も、もとはと言えばタクシン政府による国内米価維持政策に発したものだった。ジアラック政府は、コメを基礎食料とる途上国の多くのひとびとを再び苦しめることになるのだろうか。
Thai
Government Cancels Rice Sale to Indonesia,Jakarta Globe,9.27
Rice
Prices in Danger,Tempointeractif,9.28
RI
to discuss buying rice from India,The Jakarta Post,9.28
タイ米輸出価格が急騰 新政府の高価コメ買上げ計画を受け(世界食料日誌 11.8.25)
ウクライナのトウモロコシ輸出が倍増の予測 米国トウモロコシの価格上昇に歯止めの可能性
今年7月1日以降12ヵ月のウクライナのトウモロコシの輸出が倍増、世界最大のトウモロコシ生産国である米国における今夏の猛暑による減収予想で高騰している世界価格に歯止めがかかる可能性が出てきた。ウクライナは2010−11年、510万トンのトウモロコシを輸出、米国、アルゼンチン、ブラジルに次ぐ世界第4位のトウモロコシ輸出国となった。ブルームバーグ・ニュースが質問した10人のアナリストと取引業者の推定の中央値によると、今季の輸出は前期を81%上回る925万トンで、ブラジルを抜いて世界第3位の輸出国になる。
パリの有力農業コンサルタントは、市場はまだこれを価格に反映していないが、ウクライナの収量が確認される収穫期が近づけば、米国トウモロコシの価格上昇傾向に歯止めがかかる可能性があると言っている。
Ukraine
Corn Exports Surge Capping Price Rally as U.S. Bakes,Bloomberg,9.3
タイ米輸出価格が急騰 新政府の高価コメ買上げ計画を受け
8月17日、タイの副首相と商務相が選挙で約束した固定価格でのコメ買上げを11月から実施すると発表した。新たな収穫米(うるち・玄米)をトン当たり1万5000バーツで買い上げる。これは現在の市場価格を4000バーツも上回る。これにより、世界米価の指標となるタイ米の輸出価格の上昇も避けられなくなる。商務相は、現在はトン当たり550ドルほどの5%タイ白米の輸出価格が、08年のピークに迫る800ドルほどに押し上げられるかもしれないという。タイ米輸出協会が24日に発表した今週の100%タイ白米(Bグレード)バンコク輸出価格は09年末以来、初めてトン600ドルを超えた。
(国際米価格の最近の推移の8月25日コメントより)
米農務省の需給予測に振り回されるシカゴ(世界)穀物相場
世界穀物価格をリードするシカゴ先物相場が、怪しげな米農務省(USDA)の需給予想に降りま振り回されて揺れ動いている。先月30日、USDAは米国の今季のトウモロコシ作付面積が大方の予想を大きく上回る1944年以来二番目の9228万エーカー(3690万ヘクタール)に達すると発表した。これを受け、同日のトウモロコシ先物相場(期近)は前日の1ブッシェル6.98ドルから同6.29ドルにまで”暴落”した。
しかし、7月11日に発表された月例需給予測が示す2011/12年の米国期末在庫は、前月(6月11日)予想の6.95億ブッシェル(1765万トン)から8.7億ブッシェル(2210万トン)に上方修正されたものの、消費量に対する比率で示される在庫率は6.4%、1995/96年以来二番目の低レベルであった。生産量は増えるものの、飼料用・エタノール用・輸出需要もすべて増えると予想されるからである。
しかし、この需要増加予測の根拠は確かなものだろうか。米国畜産・食肉業界は、トウモロコシ価格高騰による飼料コストの上昇に音を上げている。
とりわけエタノールについてはつい先ごろ、国家財政立て直しのためには待ったなしと、上院がブレンダ―に対するガロン4.5センの高率補助とガロン54セントの高率関税の今年いっぱいでの廃止に合意した(Senate
deal would axe $6 billion ethanol tax credit,Reuters,11.7.7)。2007年エネルギー独立・安全保障法(EISA)は各年の再生可能燃料基準(RFS、バイオ燃料利用量の義務的目標)を定めており、環境保護局(EPA)は2012年につき132億
ガロンの利用目標を定めた。この量は2010年のエタノール生産量にほぼ同じである。しかし、補助金なし、ブラジルのサトウキビエタノールとの競争の激化のなかでこの生産量を維持するのは容易なことではない。今は砂糖価高騰でブラジルのエタノール生産が砂糖生産にシフト、ブラジルでエタノール不足が生じる事態となって米国のトウモロコシエタノールの輸出ブームが起きているが、米国の関税撤廃となれば、ブラジルエタノール産業の巻き返しが始まるだろう(Brazil looks to US to kickstart biofuels,FT.com,7.10)。RFSは、ブラジルのサトウキビエタノールの手を借りなければ達成できない可能性がある。
それにもかかわらず、USDAは、2011/12年のエタノール用トウモロコシ消費を、09/10年の45.7億ブッシェル、10/11年の50.5億ブッシェルを上回る51.5億ブッシェルと予測する(これは、飼料用消費:50.5億ブッシェルをも上回る)。こうした予測を受け、7月13日のシカゴ先物相場は、6月21日以来の7ドル台に乗せた。市場の先行きが不透明ななか、市場は必ずしも信頼できないUSDAのデータ(Reliability
of US crop reports questioned
,FT.com,7.12)に振り回されて右往左往することになるのだろうか。
ただし、食肉価格高騰を抑えるために中国が大量のトウモロコシ輸入に走ることは十分考えられる。それはトウモロコシを騰勢に導く最も確かな要因かもしれない。
中国 厳しい干ばつで食料価格が急騰
中国揚子江流域を襲った50年来とも言われる厳しい干ばつで、米や野菜の値段が急騰している。国家統計局によると、50の都市の基礎食料の平均価格が大きく上昇、葉物野菜の価格は1ヵ月で16%上昇した。干ばつによる生産の減少が主な原因で、農業部は、米や野菜の値段はすぐには下がりそうにないと言う。
干ばつが特に厳しい湖北、湖南、江西、i安徽、江 蘇 の諸省で700万ヘクタールの農地が影響を受けている。上海のスーパーの米は1ヵ月で20%値上がりした。湖北省都でモニターされている20種の野菜の平均価格は1ヵ月で7.3%上昇した。キャベツの値段は5月の間に2倍にもなった。湖や川は干上がっているから淡水魚も獲れず、カニやエビの価格も急騰している。
雨の気配はまったくない。
Severe drought fuels food price increases,China Daily,5.31
http://www.chinadaily.com.cn/china/2011-05/31/content_12608721.htm
関連:Severe drought continues in
central, southern regions,xinhua,5.30(写真あり)
5月14日
口蹄疫=韓国、原発事故=日本の輸入増大で米国内牛肉価格が急騰
韓国、メキシコ、日本の需要増大で、アウトドア・グリル需要が増える4月から5月末までの需要ピークを迎えた米国牛肉の国内価格が急騰している。4月の小売価格は1ポンド当たり4453ドル、1年前より11%高かった。口蹄疫勃発で国内供給が減った最大の海外購入者・韓国の今年第一四半期(1−3月)の米国牛肉購入量は前年同期の3倍にもなった。原発事故で国産牛肉の安全性への不安が広がっている(メキシコに次ぐ)第三の輸入国・日本の購入量は63%増えた。米農務省(USDA)は、今年の肉価格上昇率は、2008年以来最高の4%と見込まれる食品全体の上昇率を上回ると予想する。輸出需要の増大で、供給は極めてタイトな状況だ。消費者も、中低価格のカットやひき肉の購入を増やす自衛に走りはじめた。
Beef-Buying
Koreans Fuel Record U.S. Meat-Price Rally as Demand Nears Peak,Bloomberg,11.5.14
5月2日
先週金曜日、ウガンダの首都・カンパラとその郊外やエンテベからムバレにいたる五つの他の町で食料品価格高騰に抗議する暴動が発生、警察の鎮圧で少なくとも二人が亡くなった。東アフリカ諸国は最近、食料と燃料の高騰による激しいインフレに襲われている。ウガンダの3月の食料品価格は前年同月に比べて29.1%上昇、4月の対前年上昇率は39.3%にまで上がった。食料と燃料の値上がりに怒った市民は、4月の1ヵ月の間に5回の街頭抗議行動を行い、野党指導者は4回逮捕された。不正選挙の疑いもある今年の大統領選挙で座を守ったムゼベニ大統領は、食料値上りの主因は気象と世界経済と言うが、抗議する側は悪しき統治の結果だと言う。
Two
killed as food riots rock Kampala,The Nation,5.1
Ugandan
inflation leaps to 14.1 pct in April,Reuters,4.29
2月15日
中国の1月の食料価格、前年比10.3%高 穀物、卵、果実が高騰
中国の1月の消費者物価指数 (CPI)が前月に比べて0.2%上昇、前年同月比4.9%の上昇となった。CPIは今年1月から食料品のウエイトを減らす方向で計算方法を変えたが、食料品価格上昇が激しく、思ったほど下がらなかった。食料品価格は前年同月に比べたて4.9%上昇した。この1年で穀物は15.1%、卵は20.2%、果物は34.8上昇した(野菜は2%の上昇)。GDPは日本を追い越し、世界第二位になったと報じられているが、通貨政策はさらなる引き締めを迫られそうだ。
China's Jan CPI up
4.9%, inflation concerns complicated by drought, global commodity prices,Xinhua,2.15
食料・燃料価格高騰、失業に対する学生・若者の抗議行動 ヨルダン、スーダンにも
アルジェリア、チュニジアに始まった食料・燃料価格高騰や失業に抗議する学生・若者が中心となった街頭抗議行動がヨルダン、スーダンにも広がった。クウェート政府は大慌て、すべての市民に100クウェート・ディナール(3599ドル)と食料品の13ヵ月無料給付を命じた。
Kuwait grants citizens $3,599 each, free food,Trade Arabia,1.17
http://www.tradearabia.com/news/ECO_191907.html
Food price rise fury in Jordan,Trade Arabia,11.1.16
http://www.tradearabia.com/news/FOOD_191825.html
Jordanians protest against soaring food prices,Guardian,1.15
http://www.guardian.co.uk/world/2011/jan/15/jordanians-protest-over-food-prices
Price rises spark student protests in Sudan's central state,Sudan Tribune,1.14
http://www.sudantribune.com/Price-rises-spark-student-protests,37617
インドとパキスタンのタマネギ戦争勃発
食料価格高騰が続くインド、主産地であるマハラシュトラの季節外れの雨で、カレー作りに不可欠のタマネギの価格の暴騰が食料インフレに拍車をかけている。
Economic fears as Indian food prices soar ,FT.com,1.6
[FT]インドの食品価格上昇、インフレ懸念に拍車
日経 1.7
そのインドに対しパキスタンが、国内価格安定策としてインドへのタマネギの陸路輸出を禁止した。インドは即座に報復、40の野菜取引業者が、我々が野菜(タマネギ)を必要としているときにパキスタンは必需品の輸出を禁止したと、逆にアターリー・ワガ国境を通ってのパキスタンへの野菜輸出を停止すると決めた。
Pakistan bans road, rail onion exports to India,Dawn,1.7
http://www.dawn.com/2011/01/07/pakistan-bans-road-rail-onion-exports-to-india.html
Indian traders stop vegetable supply to Pakistan,Dawn,1.7
http://www.dawn.com/2011/01/07/indian-traders-stop-vegetable-supply-to-pakistan.html
あまり聞いたことがない南アジアでの野菜戦争の勃発だ。
インドネシア貧困家族 値上がりしたコメの代用主食で6人兄弟が中毒死 アルジェリアは遂に食料暴動
今年最初の週末、インドネシア中ジャワ島ジュパラ県の6人兄弟が食中毒で死んだ。伝統的なコメ代用食、ヤシ砂糖で甘味を付けたティウル(tiwul)と呼ばれる菓子の毒に当たったと見られている。この件につき、ジャカルタ・ポスト紙社説は、次のように言う。
「これを人道的悲劇と見るのは誇張かもしれないが、この死は、この国の多くの人々が常に直面している絶望的貧困を雄弁に物語る。これは、商品価格高騰で人々の購買力が失われる今後何か月の間に情況は一層悪化するだろうという警報としても役に立つ。
伝統的に、ティウルはコメの安価な代用品として、貧困と結びついてきた。ジュパラの粗悪ティウルで死んだ人たちは、週に15万ルピア(16米ドル≑1300円)から20万ルピアしか稼げず、9人を養わねばならない貧困家族の一員であった。家族は、異常な天候、自然災害、害虫の攻撃による供給不足で価格が暴騰したためにコメを買えなくなり、事故の2週間前に主食をティウルに切り替えた。
中央統計局によると、コメ価格上昇は、2009年の2.78%から7%近くにまで上がった2010年のインフレに1.29%寄与している」。
Six Jepara siblings die from cassava poisoning,The Jakarta Post,1.4
http://www.thejakartapost.com/news/2011/01/04/six-jepara-siblings-die-cassava-poisoning.htm
Editorial: Cassava the killer,The Jakarta Post,1.7
http://www.thejakartapost.com/news/2011/01/07/editorial-cassava-killer.html
世界食料価格指数が史上最高となっても07年〜08年のような食料暴動は起きていないと昨日伝えたばかりだが、食料価格高騰は既に多くの貧困家庭の満足な食料・栄養確保を脅かしている。
それだけはない。アルジェリアでは、食料価格高騰が遂に暴動を引き起こした。首都アルジェを含むいくつかの都市で、高い失業率に欲求不満を募らせた若者が警官と衝突した。5日には砂糖、料理油、小麦などいくつかの商品の価格急騰に抗議する暴動が勃発、翌6日の午後には首都の一部地区の店はシャッターを下ろしたという。
Algerians riot over rising price of food ,FT.com,1.6
http://www.ft.com/cms/s/0/bbdba3c8-19bf-11e0-b921-00144feab49a.html#axzz1AKdAw1kl
2010年12月のFAO食料価格指数 史上最高に
1月5日に発表されたFAOの最新データによると、昨年12月の世界食料価格指数が2008年6月の史上最高記録:213.5を超える214.7に達した。
食料価格指数は、各商品グループ(肉類、乳製品、穀物、食用油、砂糖)の価格指数を、各々の2002-2004年の平均輸出シェアで加重平均したものである。世界的天候異変で供給不足が懸念される砂糖が史上最高を大きく超え、同様に穀物と食用油(ナタネ、大豆等油料種子やパームオイル)も高騰、史上最高に迫ったことが、食料価格指数を史上最高に押し上げた。
http://www.fao.org/worldfoodsituation/wfs-home/en/
ただし、主食の中心をなすコメと小麦(パン)の世界市場価格は、最近の高騰にもかかわらず、08年のピーク時に比べるとなお50%(コメ)から60%(小麦)程度にとどまっている(トウモロコシ、大豆、パームオイルなどはピーク時に近いところまで上がっている⇒主要穀物・大豆・菜種の国際価格の推移;CPO(パームオイル粗油)先物相場(マレーシア:BMD:期近)の推移)。また、多くの食料輸入国の食料生産は、07年〜08年のが最悪の状態からは脱している。そのために、食料価格指数の記録的上昇にもかかわらず、07年〜08年のような暴動の頻発は、取りあえず免れているということだろう。しかし、世界中で天候異変が頻発している。一寸先は闇である。
関連ニュース・分析
Global food prices hit record high,FT.com,1.5
http://www.ft.com/cms/s/0/51241bc0-18b4-11e0-b7ee-00144feab49a.html#axzz1AEZMXGMJ
FAO draws comfort at lack of food riots,FT.com,1.5
http://www.ft.com/cms/s/0/43cfbae0-18fc-11e0-9c12-00144feab49a.html#axzz1AEZscwsW
ウルグアイ 干ばつで国家農業非常事態宣言
家畜飼料関税の廃止、道路沿いの草地での放牧などを許可。ラ・ニーニャ現象による干ばつがウルグアイ農業部門にもたらす損害は10億ドルにのぼると推定される。
Uruguay under agriculture “state of emergency” because of lack of rains,Merco Press,12.25
http://en.mercopress.com/2010/12/24/uruguay-under-agriculture-state-of-emergency-because-of-lack-of-rains
ラ・ニーニャ現象はオーストラリアには大洪水をもたらす一方、ウルグアイ、ブラジル、アルゼンチンなどには厳しい干ばつをもたらしている。これが最近の小麦、トウモロコシ、大豆の国際価格急騰につながった。
Soybeans Rise to 28-Month High on China's Import Demand; Corn Prices Gain,Bloomberg,12.24
http://www.bloomberg.com/news/2010-12-23/soybeans-rise-to-27-month-high-on-china-import-demand-corn-wheat-advance.html
12月21日
オーストラリア 収穫小麦2400万トンの半分がダウングレード
ナショナルオーストラリア銀行が今季収穫小麦2400万トンのうちの”およそ半分”が飼料にしかなfらないか、品質が低下すると推定。ダウングレードのコストは10億オーストラリアドルに達する可能性があり、かつ洪水からの損害は、現段階ではまだはっきりしないという。
Half of Australia's Wheat Crop May Be Downgraded After Rainfall, NAB Says,Bloomberg,12.21
http://www.bloomberg.com/news/2010-12-21/half-of-australia-s-wheat-crop-may-be-downgraded-after-rainfall-nab-says.html
ロシアの干ばつやオーストラリア・カナダの大雨で跳ね上がった国際価格の影響で上昇する国内価格を抑えるために、来年1月から6月まで、精麦輸入関税を廃止する。また、小麦粉への4.2%の輸入関税も2.5%に引き下げる。
12月6日
オーストラリア最大の穀作地帯で大洪水 日本向け小麦輸出も当分途絶える?
7年にわたって干ばつが続き、1ヵ月前に干ばつの終わりを祝ったばかりのオーストラリアが大洪水に襲われている。今年9月には昨年の倍、1450万トンという 冬作物の記録的収穫が予想されていた国最大の穀物生産州、ニュー・サウス・ウエールズ(NSW)州の洪水現地を訪れたクルスティーナ・ケネリー州首相は、推測は時期尚早だが、5億オーストラリアドル(約410億円)に相当する作物が流されたと語った。
ただ、NSW農民協会会長は、25億ドルの州の小麦の半分が失われた恐れがあると言う。洪水はビクトリア州からクインーズランド州にも広がっている。NSWでは、今後さらに100ミリの雨が予想されるという。
Bumper Winter Crop Expected for Eastern States,ABARE,2010.9.14
http://www.abares.gov.au/media-releases/abares-releases/2010/september/bumper-winter-crop-expected-for-eastern-states
Floods wipe $500m off crop values,smh,10.12.6
http://www.smh.com.au/environment/weather/floods-wipe-500m-off-crop-values-and-more-rain-to-come-20101205-18lec.html
Flood losses could top $1bn: farmers ,The Australian,12.6
http://www.theaustralian.com.au/news/nation/flood-losses-could-top-1bn-farmers/story-e6frg6nf-1225966336819
主にうどん用に使われるオーストラリア小麦の最大輸入国・日本への輸出も、当分途絶えることになりそうだ。国産小麦倍増?(食料自給率50%達成のための小麦・大豆等生産目標 荒唐無稽な農水省素案,) もう遅い。
関連:コメ減反強化のなか 日本が大慌ての小麦買い付け それを変とも思わぬ飽食日本の末路は?(
12月1日
ケニア政府が、日本が援助したすべてのトウモロコシを市場価格より安い値段で放出する。近年珍しい昨年来の雨で大豊作となったケニアのトウモロコシの価格は、今暴落している。先月、国家穀物ボード(NCPB)は農民からの直接購入を停止、価格が回復するまで収穫物を国家サイロに預かり、代わりに銀行ローンを受けるときに抵当として使うことができるレシートを発行する新たな制度が導入された。農業省はこの先、1袋(90キロ)1800シリングの買い入れ価格を設定している。ところが、日本が援助した53万8642の50キロ袋を750シリング、従って90キロ1350シリングで、いま放出するという。1800シリングでも安すぎると抗議している農民は収まらない。自分たちの収穫物を買い入れる前に日本からのトウモロコシを国内市場に放出するとは何ごとか、これは市場価格に影響、農民の価格回復の希望を打ち砕くと怒る。ただ、農業省官吏は、日本のトウモロコシは政府が安く売ることを条件に与えられたと言っているそうである。
Maize aid dashes hope for grains sector recovery,Business Daily,11.30
http://www.businessdailyafrica.com/Corporate%20News/Maize%20aid%20dashes%20hope%20for%20grains%20sector%20recovery/-/539550/1062632/-/abl2ogz/-/index.html
11月29日
中国 10月末以来、国家備蓄穀物・調理油2550万トンを放出
中国国家発展改革委員会(NDRC)が11月26日、需要を満たし・価格を安定させるために、11月23日から26日までの間に国家備蓄穀物・調理油を850万トン放出したと発表した。10月末以来の総放出量は2550万トンに達した。内訳はトウモロコシ540万トン、小麦1350万トン、コメ630万トン、ナタネ油30万トンという。
China uses 8.5m tons of grain reserve to ensure market supply,China Daily,11.26
http://www.chinadaily.com.cn/china/2010-11/26/content_11617523.htm
米農務省(USDA)の10月推定では、中国の小麦2009/10年度期末在庫は5400万トンほどだったから、たった1ヵ月の間に4分の1(25%)の在庫が減ったことになる。米在庫は15%、トウモロコシ在庫は10%の減少ということになる。
11月27日
干ばつのロシア アルゼンチンから飼料用トウモロコシ300万トン購入の意向
夏の破滅的干ばつと森林火災による飼料不足を補うために、モスクワ訪問中のアルゼンチン貿易投資使節にロシア側がトウモロコシ300万トンを購入したいと申し出た。、
Russia orders 3 million tons of Argentine animal-feed corn; first delivery January,Merco Press,11.27
http://en.mercopress.com/2010/11/26/russia-orders-3-million-tons-of-argentine-animal-feed-corn-first-delivery-january
25日には、ロシア穀物生産者同盟が、現販売年度の終わり(2011年月1日)までに500万トンの穀物輸入が必要になるかもしれないと言っていた。
5M Tons of Grain to Import,Moscow Times,11.26
http://www.themoscowtimes.com/business/article/5m-tons-of-grain-to-import/424875.html
11月25日
韓国 南アフリカから異例のトウモロコシ輸入 米国産価格高騰で
世界第三のトウモロコシ輸入国・韓国が今年、米国トウモロコシの価格高騰で、南アフリカからトウモロコシを輸入した。韓国国際貿易協会のウエブサイトが示すデータによると、1月から10月までに16万1000トンの飼料用トウモロコシを南アフリカから購入したことになっている。同期間の米国からの輸入は553万トンだった。南アフリカからの購入は非常に稀なことだが、今年は価格が高騰している米国産よりも大豊作の南アフリカ産の方が安いという。
Korea Makes `Very Rare' Purchases of South African Corn, Local Buyers Say,Bloomberg,11.25
http://www.bloomberg.com/news/2010-11-24/korea-makes-very-rare-purchases-of-african-corn-buyers-say.html
11月19日
干ばつで不作のロシアが輸出を禁止したために、ケニアは来年、20万トンの小麦を米国から輸入することになりそうだ。今も5万トン
の米国小麦がモンバサの港に到着、荷揚げが始まっている。米国大使は、米国小麦の東アフリカ市場輸出が記録的になり、食料安全保障の達成には食料貿易が重要であることがはっきりしたとご満悦だ。
Kenya imports wheat from US,Nation,11.19
http://www.lanouvelletribune.info/index.php?option=com_content&view=frontpage&Itemid=1
ただし、米国小麦の輸入は、ケニアにとって高い買い物であることは間違いないだろう。エジプトは今年、トン239ドルで18万トンのロシア小麦を買った1週間後には、トン280ドルのフランス小麦を買うことになった。ヨルダンは、通常はトン210ドルの黒海小麦(ロシア、ウクライナ、カザフスタンなどの小麦)を買っているが、今年はトン300ドル以上の非黒海小麦を買わねばならなかった。
Egypt "moving aggressively" on wheat: US attaché,Daily News Egypt,8.13
http://www.thedailynewsegypt.com/index.php?option=com_content&view=article&id=122109&catid=1&Itemid=183
Jordan buys 100,000 T German wheat,Trade Arabia,8.13
http://www.tradearabia.com/news/FOOD_184503.html
米国小麦はもっと高くつく。今は米国積み出し港価格(FOB)はトン300ドルほど、港を出たあとの運賃や保険料は輸入者もちだ。米国小麦がいくら余っていても、中東やアフリカの食料安全保障は「保証」されない。
11月12日
タイ農業者協会会長が11日、いつもは1000万トンになるタイの米生産が、今年は水田の甚大な洪水被害のために20%ほど減ると話した。国には大きなストックがあるから、国内消費と輸出のための米が不足することはなく、米価の高騰も起きていない。ベトナム、インド、パキスタンなど他の米生産国も自然災害の被害を受けており、内外の米生産に対する懸念から米価はトン当たり8500バーツ(1バール=2.76円、従ってトン2万5000円、キロ25円ほど)から9000バーツに上がった。1万バーツまでは上がるかもしれないが、一部の人が言うように1万5000バーツにまで上がることはないだろうという。
Rice harvest could be down 20%,Bangkok Post,11.11
http://www.bangkokpost.com/news/local/205901/rice-production-expected-to-drop-20
11月1日
FAO 作物生物多様性 使わなければ失われる COP10は何のため
国連食糧農業機関(FAO)が先月26日、1996年以来20年ぶりに「食料と農業のための世界植物遺伝資源の状態」に関する第二次報告(SoWPGR-2)を発表した。報告は、世界中における食料と農業のための植物遺伝資源(PGRFA
)の多様性・保存・利用のトレンドはもとより、その食料安全保障への貢献を支える国・地域・国際的努力の程度と役割を包括的に検討した。
それが強調するのは、われわれが育て・食べる植物とその近縁野生種の遺伝的多様性は、それを保存するだけでなく、利用するための特別の対策が一段と強化されないかぎり、永遠に失われ、将来の食料安全保障を脅かす恐れがあるということである。報告は、生物多様性の損失を定量はしていないが、前世紀を生き残った伝統的作物の多様性が削り取られ、作物多様性が引き続き消滅に向かっている経験的証拠があるという。1900年と2000年の間に作物多様性の75%が失なわれたと推定される。最近の研究は、ピーナツ、ジャガイモ、豆類の重要な食料作物の野生近縁種の22%が、気候変動のために2055年までに消滅すると予測している。
これら遺伝資源を保存する遺伝子銀行は増えており、現在、世界中で1750の遺伝子銀行があるが、保存されている740万のサンプルのうち660万は国家政府の遺伝子銀行が保存しているもので、しかもその45%がたった7ヵ国に集中している。報告は、現存の遺伝資源の保存と利用への関心を生み出し、そのための能力を築く、特に農業生産の現場のレベルでの一層の努力が必要だと言う。
http://www.fao.org/agriculture/crops/core-themes/theme/seeds-pgr/sow/sow2/en/
名古屋でのCOP10が閉幕した。農水省は、「特に遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)に関する「名古屋議定書」と、2011年以降の新戦略計画「愛知目標」が採択され、参加国からホスト国のとりまとめ努力に対して高い評価が示されました」と言う(http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kankyo/101030.html)。しかし、COP10は、食料と農業に直接かかわる「作物(及び近縁野生種)生物多様性」とは無縁であった。野生動物の多様性への関心は高まり、遺伝子組み換え作物からの遺伝子汚染による野生植物多様性の問題も取り上げられたとしても、農業現場の作物・品種選択が多収や良食味を求め、あるいは(将来は)遺伝子組み換え技術を援用した高温・干ばつ耐性を求め、ますます単純化していくことは問題意識にものぼらない。当事者がどれほど張り切っていても、一般人には、なんとも意義がはっきりしないCOP10であった
(生物多様性の重要性は、食料や農業のための遺伝資源の多様性の重要性と関連づけられてこそ、誰にも理解しやすいものとなる。遺伝子汚染も野生植物の汚染なら問題だが、作物の汚染は問題にならないというのも理解しかねる)
10月23日
ロシア 穀物禁輸を半年延長 国内食料・飼料市場安定を優先とプーチン首相
少なくともこの半世紀で最悪と言われる干ばつによる減収で今年末まで穀物輸出を禁止するとしていたロシアが、禁止を来年7月1日まで延長する。国営テレビで放送された22日の閣議で、プーチン首相が「国内食料市場と家畜飼育の安定が優先されねばならない」と語った。首相は前日、延長を正式に承認したという。
ロシアの穀物の3分の1以上が干ばつで破壊された。しかし、6000万トンの穀物が収穫され、国内需要は十分に満たすことができるということだ。ただ、10月20日現在、冬穀物の作付は1 320万ヘクタールにとどまっており、1年前に比べて400万ヘクタール少ない。ビクトル・ズプコフ第一副首相は、冬穀物の作付は見通しより30%ほど少なく、遅れを取り戻すのは不可能と言っている。
Russia Extends Grain-Export Ban to July 1 Following Drought, Putin Says,Bloomberg,10.23
http://www.bloomberg.com/news/2010-10-22/russia-extends-grain-export-ban-to-july-1-putin-says-on-state-television.html
なお、米農務省と最新(10月)予測では、ロシアの2010/11年小麦輸出は、2009/10年の1856万6000トンから1506万トン(80%以上)減って、わずか350万トンになる。生産は6170万トンから4250万トンに減るとされている(大麦は1790万トンから850万トンへ、前年の半分以下になる)。
10月20日
タイ 4年来の洪水で米が昨年比200万トン減収の見込み 国際米価上昇は避けられず?
昨日の 「今日の話題」で伝えたように、タイの広範な地域が滅多にないほどの大洪水に襲われている。業界筋によると、今年の米生産高は去年を15%から20%、200万トンほど下回る。パキスタンとフィリピンは洪水と台風で減産、輸入需要が増える可能性があるところに、世界最大の輸出国のこの減産、世界市場価格はトンあたり20ドルから30ドル上がる可能性があるという。
なお、パキスタンの米生産は昨年の670万トンから400万トンに40%も減少するという。2007-08年の世界米危機の再来もあり得ないことではない。
Rice Prices May Extend Rally as Floods Cut Harvest 20% in Biggest Exporter,Bloomberg,10.20
http://www.bloomberg.com/news/2010-10-20/rice-prices-may-extend-rally-as-floods-cut-harvest-20-in-biggest-exporter.html
Farmers may face paddy seed shortage,Dawn,10.20
http://www.dawn.com/wps/wcm/connect/dawn-content-library/dawn/the-newspaper/business/farmers-may-face-paddy-seed-shortage-000
10月19日
フィリピン・イザベラ州 超大型台風で米38万5000トン失う 輸入削減計画に暗雲
超大型台風(国際名:Megi、フィリピン名:Juan、日本で13号)で、フィリピンの主要農業生産地の一つであるルソン島イザベラ州の米生産に38万5000トンの損害が出たもよう。トウモロコシも4万6400トンの損害が見込まれる。世界最大の米輸入国であるフィリピンは昨年、240万トンの米を輸入した。2011年には150万トンに減らすという希望は打ち砕かれそうだ。国際市場への影響も懸念される。
‘Juan’ destroys rice, corn crops,Inquirer,10.19
http://business.inquirer.net/money/breakingnews/view/20101019-298581/Juan-destroys-rice-corn-crops
10月13日
マダガスカル 稲強化農法(SRI)でヘクタール9トンの米収穫 森林を破壊せずに倍増する人口を養う
2025年までに現在の倍、4000万人に増えると見込まれるマダガスカルの国民を、森林を破壊することなくどうやって養うか。世界の科学者、というより技術者、役人、政治指導者は、そんことは決まっている、遺伝子組み換え技術を使った品種改良で作物収量増やす以外にないと言いそうだ。
しかし、どっこい、マダガスカル東部・アツィナナナ地方の人口4万の小さな町・イビヒベのNGOが、きわめて簡単なローテク農法である「稲強化農法」(SRI、日本では稲集約農法と訳されることが多いようだが、通常より粗植のこの農法を「集約」と名付けることには抵抗がある。筆者は、個々の稲を強化するという意味あいで「強化農法」と呼ぶことにしている。参照:カンボジア 小農の稲強化農法が大成功 それでも理想は米国流メガファームと一流農学者,08.10.15)の試験と普及を試みている。最初、農民たちは半信半疑だったが、今、その成果が見え始めた。
イビヒベ米生産者協会会長によると、この方法で稲を育てた12fの田んぼでの初めての収穫を終えたばかりだ。通常の方法ではヘクタール2トンほどしか獲れないのに、なんと9トンも獲れた。近い将来、14トンを獲ることも期待できるという。
Riziculture - Les nouveaux procédés d'Ivohibe,Madagascar Tribune,10.13
http://www.madagascar-tribune.com/Les-nouveaux-procedes-d-Ivohibe,14885.html
技術者や政治家のハイテクボケ、本当に困ったものだ。
10月12日
夏の炎天で米国の米収量と精米歩合が低下 米価が急騰の恐れ アメリカ米生産者協会
米国米生産者協会のロバーツ会長によると、昨年は世界第4の米輸出国だった米国の今年の米収穫量は予想を10%下回り、価格を30%押し上げる恐れがある。米国生産地域の炎天で収量が減り、精米歩合が落ちるから、シカゴ先物相場は来年1月までに100ポンド16ドルから17ドル(現在は12〜13ドル)にまで跳ね上がるだろうという。
米農務省(USDA)は今年の米国米(籾)生産量予測を5%切り下げて1100万トンとし、エーカー当たり収量は2005/2006年以来の最低レベルに落ち込むと見込んでいいる。国連食糧農業機関(FAO)の9月1日の世界米生産予測では、メコン川の水位低下で世界最大の輸出国であるタイとベトナムの収量が下がり、昨年は世界第3の輸出国だったパキスタンの収穫量も洪水のために減る。ロバーツ会長は、7月と8月の炎天は米国の米に損害をもたらし、100トンの籾から生産される精米は通常の65トンから50トンに減る。
彼によれば、今季は記録的収穫が予想されたが、この3週間で事態はすっかり変わってしまった。USDAのデータには、精米歩合の問題がまだ組み込まれていない。「USDAはその収量見通しと価格見通しを劇的に修正していない。それは深刻な問題の兆候だ」と言う。
Rice May Surge 30% as U.S. Harvest Facing a `Serious Problem,' Group Says,Bloomberg,10.12
http://www.bloomberg.com/news/2010-10-12/rice-may-surge-30-as-u-s-harvest-facing-a-serious-problem-group-says.html
10月10日
インドネシア 長雨で2007年以来初めて米輸入へ 米値上がりの懸念も
ロイター等によると、2007年にベトナムやタイから米120万トンを輸入したのを最後に少量の特殊な米を輸入するだけで、基本的には米自給を達成したインドネシアが、今年は長雨による減産と品質低下で再び米を輸入することになった。取引業者や市場ウォッチャーは、驚くべき中国による輸入やパキスタンの大洪水と相俟って、他の穀物価格が急騰している折、米価格も上がる恐れがあると懸念している。インドネシアとフィリピンがベトナムから220万トンを輸入しようとしているという報道もある。報道とは別に、10月8日に発表された米農務省世界穀物需給報告によると、インドネシアの米輸入量は2010年に70万トン、2011年には40万トンになるとしている。
Indonesia Set to Import Rice as Stocks Dwindle,The Jakarta Globe,10.8
http://www.thejakartaglobe.com/business/indonesia-set-to-import-rice-as-stocks-dwindle/400350
USDA:http://www.fas.usda.gov/grain/circular/2010/10-10/Rice_txt.asp
9月3日
ロシアの干ばつ ついにモザンビークの食料暴動にまで発展 ロシアは穀物輸出禁止を延長
世界穀物在庫は世界中で食料危機が起きた2007−08年を大きく上回っており、干ばつでロシアの小麦等穀物が大幅減産となっても世界が食料不足に陥ることはないというFAO等の不安鎮静の努力ににもかかわらず(参照:USDAが世界穀物需給最新見通し 世界の小麦供給基盤は盤石か,09.8.13)、この干ばつなどを契機とする小麦世界価格の高騰(⇒)は、ついにモザンビークの首都・マプートで、パンの価格の急騰に抗議する市民の暴動を引き起こした。
世界最貧国の一つをなすこの国で、最近、パンの値段が30%も上昇した。労働者の平均月収は37ドルだが、政府管理のパン価格は1ロール20セントにまで値上がりした。政府は、この値段をもとに戻すことはしないと言う。怒った市民が道路にバリケードを築き、商店で略奪を始めた。軍が鎮圧に乗り出した。政府報道官によると、7人が死に、280人が怪我をした。10人が死亡、140人が逮捕され、27人が重傷を負い、32の店が略奪されたという民間テレビの報道もある。
Troops clear barricades, Mozambique riots persist,Reuters,9.2
http://af.reuters.com/article/topNews/idAFJOE6810B120100902?pageNumber=3&virtualBrandChannel=0
Seven die in Mozambique food rioting,FT.com
http://www.ft.com/cms/s/0/90cf28b2-b6c8-11df-b3dd-00144feabdc0.html
MOZAMBIQUE: Price increases 'irreversible',IRIN,9.2
http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=90375
EGYPT: Wheat subsidy system under strain,IRIN,9.2
http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=90363
Latest
update on riots,Mozambique News Agency,10.2
Police deny use of army to restore order ,Mozambique News Agency,10.2
Unrest
worsens living conditions: President Guebuza ,Mozambique News Agency,10.2
Police
confirm four deaths in Maputo riots,Mozambique News Agency,10.1
Matola:
demonstration leaves trail of vandalism and destruction,Mozambique News Agency,10.1
Government
remains committed to mitigating effects of world economic crisis,Mozambique News Agency,10.1
エジプトでは、もっと前から抗議行動が多発している。ロシアは9月2日、今年年末までとしていた輸出禁止を12ヵ月間に延長すると発表した。特に割高なヨーロッパや米国ではなく、ウクライナ、ロシア、カザフスタンなど安価な黒海地域の小麦に頼ってきた中東・アフリカ諸国では、2007−08年の食料危機が再来する可能性も出てきた。
Putin Extends Ban on Grain Exports,Moscow Times,9.3
http://www.themoscowtimes.com/business/article/putin-extends-ban-on-grain-exports/414672.html
Fears grow over global food supply,FT.com,9.2
http://www.ft.com/cms/s/0/5f6f94ac-b6bc-11df-b3dd-00144feabdc0.html
8月27日
SovEcon(ロシアの農業関係通信社)によると、来年6月に終わる販売年度のロシアの穀物輸入は、最悪の干ばつの影響で600万トンにまで膨れ上がる。小麦輸入は150万トン、大麦輸入は180万トンになる。SovEconまた、小麦と大麦の予想生産量をそれぞれ4,150万トン、870万トンに切り下げた。
Grain Imports May Surge,Moscow Times,8.27
http://www.themoscowtimes.com/business/article/grain-imports-may-surge/413780.html
[USDAの8月の予想では、ロシアの小麦と大麦の生産量は、それぞれ4,500万トン、1,000万トンとされていた]
8月26日
世界最大の小麦輸入国・サウジアラビアが赤肉価格の急騰を受け、飼料となる大麦を輸入する業者の利鞘を最大5%に制限する。違反者は国の補助金を切られ、輸入ライセンスも6ヵ月以上の停止となる。(ロイター)
Saudi caps profit margins for barley importers,Tarde Arabia,8.26
http://www.tradearabia.com/news/FOOD_184986.html
[ロシアの減産と輸出禁止で小麦価格にばかり注意が向いているが、ロシアで最大の被害を受けているのは大麦である。大麦の供給不足による飼料価格の上昇にもっと注意を向ける必要がある]
ドイツ農民団体によると、干ばつと洪水で、ロシアほどではないとしても、ドイツも今年は穀物が大幅減収になりそうだ。2010年の穀物収穫量は前年の4,970万トンを大きく下回る4,390万トンに落ち込む。パンを作る小麦の価格は3月のトン当たり107ユーロから181ユーロまで高騰している。多くのEU諸国と同様、6月と7月には干ばつを伴う40℃に近い極端な高温を経験、続く8月は大雨に見舞われた。高温による早熟とその後の水浸しで穀物の品質も落ちた。大部分の農家は、価格上昇の前に契約していたから、価格上昇の恩恵にも与れない。
German Grain Harvest Will Slump on Drought, Flooding, Farming Group Says,Bloomberg,8.25
http://www.bloomberg.com/news/2010-08-25/grain-harvest-in-germany-may-slump-12-after-drought-flooding-hits-crops.html
8月24日
最近何週間かの大雨で小麦と大麦に破滅的被害。多くの農民が今年の収穫の完全放棄を考えている。通常は500万トンの小麦と300万トンの大麦を収穫する。
Farmers abandon harvest,Copenhagen Post,8.24
http://www.cphpost.dk/news/national/88-national/49801-farmers-abandon-harvest.html
そうなったときの世界市場への影響は?パキスタンの洪水被害の影響もまだ不確かだ。
8月19日
農民の利益を護るための価格支持、貧しい人々への穀物分配、国の食料安全保障のための穀物緩衝在庫の維持などの役割を持つ国営組織・インド食料コーポレーション(FCI)のアンドラプラデーシュ州・ナルゴンダの倉庫を最近訪ね人民党代表団が、倉庫に貯えられた500万トン以上の穀物がオニネズミに食べられてしまっていることを発見した。
代表団リーダーによると、倉庫の貯蔵能力は4万トンしかないのに、順調なモンスーンで110万トンも生産された。大部分のストックは屋外に置かれ、陽光と雨に曝されて腐ったまま放置されている。いくつかのローリーは荷を積んだまま、鉄道の貨車は倉庫から積み上げる準備もできていない。さらに、貧困層に穀物を分配する公共分配計画(PDS)の一環として、腐った穀物がタミルナドとケララに供給されていた。
‘Foodgrains left to rot in sun and rain',Hindu,8.19
http://www.hindu.com/2010/08/19/stories/2010081961490100.htm
インドの食料安全保障は、ハイテクによる食料増産に頼らなくても、ローテクによる収穫後(ポストハーベスト)のロスの削減で大きく改善されるだろう。
8月12日
パキスタン 大洪水で食料安全保障が危機に FAOアセスメント
パキスタンの穀倉地帯・インダス川流域を襲っている破滅的大洪水による農業災害のFAO専門家等による暫定アセスメント結果によると、多くの地域の作物が「100%」失われ、”tens of thousands ”の家畜が死んだ。70万ヘクタールの作物が水没するか破壊され、多くの場合、生き残った家畜も餌がない。食料価格は既に急騰しはじめており、地域住民の食料安全保障が危機に曝されている。
Urgent help needed for flood-stricken Pakistan farmers,FAO,8.11
http://www.fao.org/news/story/en/item/44673/icode/
7月22日
イギリス食品基準庁(FSA)が分解 連立新政権が食品産業の圧力に屈服
イギリス環境・食料・農村省(DEFRA)が7月20日、BSEなど食の安全性を揺るがす歴史的大事件を受けて2000年に設立され、食品安全の確保はもとより、健全な食事の推進でも大きな役割を演じてきた独立機関・イングランド食品基準庁(FSA)を再編すると発表した。新たな保守・自由民主連立政権のランスリー保健相が言い出した再編で、FSAの政府からの独立性は維持するものの、その役割は厳密な意味での食品安全政策とその執行に限定、イングランドの栄養政策は保健省に移管、さらに原産国表示やさままざまな安全非関連表示にかかわる政策や食品規格政策はDEFRAに移管するという。
Food Standards Agency to keep crucial safety role,DEFRA,7.20
http://ww2.defra.gov.uk/2010/07/20/fsa-news/
FSAは、塩分や脂肪、その他の栄養素のレベルを赤、黄、緑で表示することで消費者の健全な食品選びを助ける制度を導入しようとしてきた。ランスリー再編は、食品産業の猛烈な圧力に屈したEUの欧州議会がこれを阻止した直後に提起されたものだ。この再編は、保健相の食品企業への屈服を示すものと見られている。
Food Standards Agency to be abolished by health secretary,The Guardian,7.12
http://www.guardian.co.uk/politics/2010/jul/11/food-standards-agency-abolished-health-secretary
MEPs reject 'traffic light' food labelling system,The Guardian,6.16
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2010/jun/16/meps-reject-traffic-light-food-labelling
シティ大学のティム・ラング食品政策教授は、いままでのFSAも、魚を食べるべきかどうか、肉を食べるべきかどうか、国民に勧告するときに文化的またはエコロジー的影響を考慮することはできなかったと認める。それでも、前政府はこの弱点を認め、FSAがこうした統合的勧告がきるように仕向ける努力をしてきた。新政権は、この”統合”とは全く反対の”分解”にとりかかったと批判する。
Food Standards Agency: what a carve up,The Guardian,7.21
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2010/jul/21/fsa-what-a-carve-up
限界はあるとはいえ、多少なりとも”統合的”勧告をしてきた世界的にも希有な公的機関が消滅する。
7月19日
中国乳業大手、ニュージーランド粉乳メーカーの過半数株を取得 ニュージーランドに広がる外国人土地支配への懸念
中国第三の乳業大手・Bright Dairy & Foodがニュージーランド・カンタベリーの粉乳メーカー・
Synlait Milkの株の51%を取得することで両社が合意した。これにより
Bright DairyはSynlaitと連携、中国市場向けの乳児用高級粉ミルクや全乳粉を調達する。Synlaitは別会社を通じ、その農場の所有と運営を継続する。
Chinese dairy giant Bright Dairy announces $82m Synlait investment,The New Zealand Herald,10.7.19
http://www.nzherald.co.nz/business/news/article.cfm?c_id=3&objectid=10659837
Chinese dairy food giant buys Canterbury company,xinhua,10.7.19
http://news.xinhuanet.com/english2010/china/2010-07/19/c_13404423.htm
別の中国企業・Natural DairyがCrafar Farmsの28の酪農農場を買収しようとする動きもある。ニュージーランドには、国が土地の支配を失い、またそれがもたらす利益を失うことへの不安が広がっている。
Bill Rosenberg: We need stronger rules on foreign investment,The New Zealand Herald,10.7.15
http://www.nzherald.co.nz/agriculture/news/article.cfm?c_id=16&objectid=10658793
3月23日
干ばつに悩まされ続けてきた東アフリカ、今年の雨季は異例の大雨続き、お陰で農作物は豊作だが、方々で洪水や土砂崩れ被害が相次ぐ。ケニアでは道路事情の悪化から折角の収穫物が市場に運べず、豊作が作物廃棄の悪夢に転じていることは最近伝えたところだが(ケニア 市場、輸送路、保管施設の欠如で大量の収穫後損失 トウモロコシは畑で腐り 牛乳は廃棄,10.3.11)、ウガンダ南西端キゲジ地区とルワンダ、コンゴ民主共和国の穀倉地帯をなすウガンダのカヌンガ県とルクンギリ県では、両県をつなぐ道路が大型トラック通行不能となり、食料価格が高騰しているということだ。2ヵ月前には一ふさ6000シリング(約250円)だったマトケ(主食向けの青い皮のバナナ)は10000シリング(420円超)に、米は一袋7万シリング(3000円)から倍以上の1万5000シリング(6360円)に跳ね上がったという。
Food prices shoot up as roads become impassable,The Monitor,3.22
http://www.monitor.co.ug/News/National/-/688334/883910/-/wjrp28/-/index.html
アフリカの食料事情改善には道路インフラの改善がいかに重要かを示している。同時に、大雨が簡単に洪水や土砂崩れにつながらない国土づくりも重要だ。今月1日、ウガンダ東部・ブドゥダ 県では80人が死亡、なお300名以上が行方不明になっている大規模土砂災害が発生した。このような大災害の一因が、山岳地域住民による森林破壊とされる。政府は再植林計画に乗り出した。ただし、地域住民の協力なくしてはその成功はおぼつかない。そのためには”アグロフォレストリー”の奨励が最善という提言がある(Control
land slides with agro forestry,New Vision,3.20)。アフリカの食料問題解決がいかに複雑な課題であるかが示されている。
3月19日
国際開発NGO・オックスファムによると、西アフリカ・サヘル地域、とくにニジェール、チャドの1000万人が厳しい食料不足に直面している。オックスファムは、2009年の不規則な雨が引き起こした厳しい食料不足に対して、先進国が迅速な行動を取るように要請している。
ニジェール、チャド、マリの最もリスクが高い地域を最近訪れたオックスファムのフィリップ・コンロードは、最も深刻なのは農村地域の農民と牧畜民で、家畜を放牧する場所を使い果たしていると言う。人々の主食は穀物だが、ニジェールなどの去年の不作が穀物不足とその値上がりにつながった。食料危機の可能性に脅かされている人々の大部分は既に極貧状態に置かれていた人々で、今後数ヵ月、十分な食料にありつけないだろう。
オックスファムによると、チャドの収穫は前年に比べて34%減り、ニジェールでは26%減った。ニジェールでは収穫皆無の地域もある。雨は6月まで期待できず、国際的支援がなければ、食料価格は9月の収穫期まで上がり続けるだろう。
Severe Food Shortage Threatens Millions in West Africa,VOA,3.18
http://www1.voanews.com/english/news/africa/Severe-Food-Shortage-Threatens-Millions-West-Africa-.html
12月3日
国際米価格が再び急騰を始めたようだ(国際米価格の最近の推移)。フィリピン政府はこれを見越して早めの輸入入札を募ったが(フィリピン 大量60万トンの輸入米公開入札へ 世界市場米価再上昇は不可避?)、とき既に遅かったようだ。60万トンという大量の今年2度目の入札にはタイ、ベトナムなどの7社が応札したが、応札価格は最低がベトナム社のトン598ドル(最高は697ドル)で、第1回入札(11月4日)のときに比べて25%も上昇、フィリピン政府の購入予算が想定していた543ドルも大きく上回った。政府は60万トン全量調達を諦めざるを得ない恐れも出てきた。
Rice price surge may trim state’s purchases,Business
World,12.3
http://bworldonline.com/main/content.php?id=2590
11月9日
オーストラリア 安価な輸入ものに走る巨大スーパー 青果商や国内生産者を脅かす
巨大スーパーが安い果物や野菜を世界中から買い集め、青果物小売市場で独占的地位を築いた、お陰で八百屋や国内農家は青息吐息だ、日本のはなしと思ったら、日本のスーパーの調達先の一つでもあるオーストラリアのはなしだ。
オーストラリアの青果物輸入は、2004年以来80%も増えた。昨年、WoolworthsとColesの二つのスーパーのオーストラリア生鮮青果物小売市場におけるシェアは50%に達した。オーストラリア野菜・ポテト生産者協会(AusVeg)によると、最近、Woolworthsの棚にはオーストラリア産冷凍野菜のパックが見られない。これらスーパーで売られるノー・ブランド品は、オランダ、中国、ニュージーランドなどからやってくる。
南部シドニー小売協会会長によると、ポテトはオランダから、オレンジはカリフォルニアからくる。古くからの青果商の妻は、バナナは南米(オーストラリアはバナナ生産国である)から、アスパラガスはペルーから、遠路はるばるとやってくると聞いたと言う。
AusVegのスポークスマンは、海外からの果物や野菜は品質も鮮度も劣る、「オーストラリア国産品は厳格な安全規制に服する。消費者が中国産のものを買えば、国産と同じ品質レベルは保証できない」と言う。
みんなどこかで聞いたようなはなしだ。
Growing apart: where the food giants source supplies,smh,11.9
http://www.smh.com.au/national/growing-apart-where-the-food-giants-source-supplies-20091109-i51f.html?autostart=1
11月7日
ウガンダ 植物油輸入依存を減らすパームオイル・プロジェクトで破局を待つばかりのビクトリア湖
ウガンダ政府が、国の植物油輸入依存を減らし、数千の人々の仕事と所得を生み出すことを目的に、ウガンダ最大の植物油メーカーであるBIDCO社及び世界最大のパームオイル企業であるウィルマー社(シンガポール株式取引市場上場の多国籍企業)と、ビクトリア湖カランガラ諸島でオイルパームプランテーションとパームオイル精製工場を立ち上げる協定を結んだ。両社とも、穀物メジャー・ADMが株を持ち、”持続可能なパームオイルに関する円卓会議”(RSPO)のメンバーである。
両社は、オイルパームプランテーション造成のための用地として、諸島の7000へクタールの森林を与えられた。これとは別に、多くは大土地所有者である地域住民のプランテーション造成のために3500ヘクタールも取り置かれた。彼らの生産者団体(KOPGT)設立のために、国際農業開発基金(IFAD)が1000万ドルのローンを提供した。
国際プレスサービス(IPS)が今年9月に現地を訪れると、BIDCOは既にブガラ島の6000ヘクタール以上の森林を刈り払い、オイルパームを植えていた。KOPGTの生産者たちは、3000ヘクタールを刈り払っていた。IPSの案内したバイクライダーは、ブガラとカランガラを覆っていた厚い森林は完全に消え、すべてパームの木に代わった。
カランガラNGOフォーラム(KADINGO)は2009年早期、パームオイル生産者が環境アセスメント(EIA)に述べられた要件を守っているかどうかの調査を”ウガンダ持続可能発展連合”(KADINGO)に依頼した。3月に発表された調査報告は、パームオイルプロジェクトが豊かなハビタットを破壊し、生物多様性の脅威となっていることを示唆する。
報告によると、森林伐採は段階的伐採というEIAの要件に従っておらず、大面積がいっぺんに伐採されていた。土壌が直接陽光に曝され、雨が土壌侵食を引き起こし、沈泥がビクトリア湖の河川を塞いでいる。
KOPGTの生産者は、施肥のガイドラインを守っていない。肥料は結局は湖に流れ込み、湖の生態系を脅かす藻や水草の大量繁茂につながっている。KADINGOは、このままでは、ビクトリア湖の破局を待つばかりと言う。
UGANDA: Palm Project Accused of Environmental Destruction,IPS,11.3
http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=49113
10月30日
インド 米の輸入関税撤廃 干ばつ・洪水で減産 米価高騰を恐れる
インドの今年の農業生産は、この30年で最悪と言われる干ばつや洪水で大きく落ち込み、食料品価格が上昇している。米農務省の今週の予測では、インドの 2009-10年の米生産は、前年を150万トンから170万トン下回る。インド米輸出業界は、在庫構築のために約200万トンの輸入を求めている。国際市場での買い入れを容易にするために、政府は10月28日、70%の米輸入関税の撤廃を決めた。フィリピンからイラン、南アフリカに至る米輸入国は、インドの少雨が世界米価格を押し上げるかもしれないと恐れ、市場を注意深く見守っている。
India scraps rice import tax ,FT.com10.28
http://www.ft.com/cms/s/0/a5257882-c3aa-11de-a290-00144feab49a.html
関連ニュース
India
May Import Rice, Fueling ‘Panic,’ IRRI Says (Update2)
,Bloomberg,10.29
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601012&sid=a0GXNdaMewP4
India may
import as much as 3 million metric tons next year after the wet season harvest plunged,
Samarendu Mohanty, a senior economist at the International Rice Research Institute, said in an interview
8月20日
パワー食料農業相が19日、今年の雨季の干ばつの作物生産への影響度を初めて明らかにした。干ばつに襲われた県の数は全体のおよそ半分の246に増え、米の作付面積は570万ヘクタール落ち込み、雨季米生産は1000万トン減少するという。油料種子とサトウキビの生産量も、作付面積の減少で減少すると予想される。今までのところ、全国的に見た降水量は、例年を29%下回る。今や、焦点は、生育中の稲を救うことと、雨季の損害を乾季に取り戻すことに移ったということである。
Drought likely to hit rice output,Hindu Business,8.20
http://www.thehindubusinessline.com/2009/08/20/stories/2009082051851600.htm
8月19日
アルゼンチン 干ばつ→牛の死と輸出規制→牧畜農家のビジネス放棄で、2年以内に牛肉輸入国に
干ばつが牛を殺し、輸出規制が牧畜農家のビジネス放棄を促しているために、最大の牛肉消費国・アルゼンチンが、2年以内に、初めて牛肉を輸入に頼ることになりそうだ。草地が干上がり、まぐさの値段も上がって、農家は牛が野で死ぬに任せている。牧畜農家は、繁殖牛もいつも以上に処分しており、将来の生産が脅かされる。国の牛の頭数は、国内への供給を増やすために政府が牛肉輸出を制限した2006年以来、7%減った。2年以内に輸入が必要になるだろうという予想がある。
Argentina May Import Beef First Time as Herds Die (Update3),Bloomberg,8.18
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601012&sid=ayMxIvP1YWxI
7月29日
インド 食習慣の変化で油消費が激増 増産でも輸入するほかないー政府
インド政府当局者が28日、食用油の需給ギャップを埋めるために輸入するほかないと語った。食習慣の変化で需要が増加している。輸入依存を減らすためにどんな手段を講じてきたのかと問われ、「種子購入のための州に対する財政支援や農民に対する増産補助金提供など、様々な手段を講じてきた」、「生産は増えたが、同時に消費も増加、ギャップを埋めるために輸入しなければならない。消費者の利益を護るために、当面は輸入関税を免除する」と答えた。油料種子生産は、2004-05年の2430万トンから、昨年は2970万トンにまで増えた。
Govt to import edible oil to meet demand,Economic Times,7.29
http://economictimes.indiatimes.com/Markets/Commodities/Govt-to-import-edible-oil-to-meet-demand/articleshow/4831918.cms
ケニアの4000小学校 帰っても食べ物がない生徒のために夏休み返上
ケニアの乾燥、半乾燥地域とナイロビ及びモンバサのスラムにあるおよそ4000の小学校の約160万人の生徒が、家に帰っても飢えと栄養不良に悩まされるだけと、8月の休みの期間も学校にとどまる。様々な政府省庁が協力して、子供の安全と食料・水を確保に努める。先生たちも、プログラムの円滑な運営のために、休暇を返上することになりそうだ。これは、28日にナイロビで開かれたトップ教育オフィシャルの緊急会合で決まった。
会合後の記者会見で、オンゲリ教育相は、「厳しい干ばつを経験している地域では、8月の休暇に生徒を家に帰すことはできない。それは子供を飢えと栄養不良にさらし、我々の教育と栄養給与の成果が無に帰することになるからだ」と語った。
最近の調査によると、乾燥・半乾燥地域の多くの家庭が食料不足に直面しており、家を棄て、家畜のための草や水を求めて隣国や遠方に移動している。たとえば、カジアド県(ケニア西部・リフトバレー州)では、家畜の30%が死に、生き残ったものはツァボ・ウエスト(南東部・海岸州)に移動した。
No holiday for hungry pupils,Daily Nation,7.29
http://www.nation.co.ke/News/-/1056/631530/-/ulifmm/-/index.html
7月25日
インド 寡雨による穀物不足を恐れ、小麦と非バスマティ米の輸出を全面禁止
シン首相と閣僚がモンスーンの状況と雨季作について説明を受けた一日後の24日、パワー農業食料相が、雨不足に対処する措置として小麦と非バスマティ米の輸出を全面禁止すると発表。
ただし、農相は、穀物在庫は13ヵ月分あると在庫不足への不安を鎮めるとともに、心配される価格上昇も一時的現象にとどまるだろうと言う。また、輸入戦略については、世界価格に影響があり得るとして明かさなかった。
小麦と非バスマティ米の輸出の全面禁止は、外交ルートを通じて許されていると言う。
Govt to ban all
wheat, non-Basmati rice exports,Financial Express,7.24
http://www.financialexpress.com/news/govt-to-ban-all-wheat-nonbasmati-rice-exports/493621/
7月24日
インド 雨季(モンスーン)の寡雨と祝祭需要で中国を抜く世界一の植物油輸入国に
80年来の雨季少雨でインドの大豆やピーナツなど油料種子の作付が遅れている。これら作物の夏季作付規模は未だ分からないが、高値で売れる豆類へのシフトで、油料種子作物面積は減る可能性がある。インドでは食用油の消費がピークを迎える祝祭期間が近づいている一方、中国は7月23日から備蓄大豆:50万トンを売りに出し、輸入需要が減る。こうして、インドは今年、中国を抜いて、世界一の植物油輸入国になりそうだ。
今年前半のパームオイルと大豆油の輸入量は、中国の400万トンを12.6%上回る450万トンで、2003年以来のトップになっている。
India set to topple China as world's top edible oils buyer,Business Times,7.24
http://www.btimes.com.my/Current_News/BTIMES/articles/vegeoil/Article/
7月22日
インド 地下水依存集約農業とモンスーンの変調で深刻な水不足 食料・経済を脅かす
米の大産地をなすパンジャブ地方、灌漑水の大量汲み上げで地下水位の低下が急速に進んでいる。一農民の述懐によると、子供の頃は地下15フィート(5メートル)のところに水があったが、55歳のなった今、雨が減った上、90フィート(30メートル)掘らないと水が出ない。2年前、70フィートの井戸が枯れたので、10万ルピー(2080ドル)を投じて220フィートの井戸を掘った。
インド中の農家と都市が毎年悩まされている水不足だが、今年はモンスーンの遅れと少雨で、状況は一層深刻だ。先週金曜日のインド気象庁の発表では、今年のモンスーン期の降水は、今までのところ、長期平均に比べて34%少なく、パンジャブを含む北部インドでは半分しかない。
多くの農民は、損害を減らすために作付を控えており、耕作されている土地は、去年の同じ時期に比べて21%少ない。農業産出高の急減は食料価格の急騰を招き、都市家族の信頼と購買力を落とすことになるだろう。既に多くの食料品目の値段が上がり始め、耐久消費財や贅沢品と見られる物の需要が減りつつある。
パンジャブでは、州当局が灌漑水を井戸からポンプで汲み上げるための電気を無料で供給している。しかし、先の農民は、それでは足りず、高価なディーゼルを使っている。通常は4エーカーの土地で野菜と米を作っている隣の農家は、極端な暑さと雨無しで、野菜の品質と生産量が落ちた。家族が食べるための米作りは、今年はやめるつもりだ。彼も井戸を持っているが110フィートしかなく、水位は底近くまで落ちている。こうなると、家族の食料の問題になる。
他方、多くの貯水池の水位も、貯水能力の11%しかなく、去年の26%の半分にもならない。ムンバイ等、いくつかの都市では吸水制限が始まった。今年は後に雨がやってきたとしても、人口増加、工業の拡大、農業の水消費を考えれば、そう遠くない将来に、現在のような水パニックが起きることになるだろう。
ニューデリーの環境研究所・TeriのAshock Jaitly水政策管理部長は、水が事実上タダで供給されているために、農家、消費者、工業が節水や効率的利用を考えるインセンティブが働かないところにも問題があると言う。パンジャブは今年、水を大量に消費する穀物を農民が2回作るのを防ぐために、6月半ば以前の稲作付を禁止した。[なお、隣接するパキスタンも今年は大変な水不足、水稲が多大な被害を蒙っている]
India’s thirst drives water to crisis level,FT.com,09.7.20
http://www.ft.com/cms/s/0/5df1af76-7544-11de-9ed5-00144feabdc0.html
India’s thirst put water at danger level,Financial Times,09.7.21,p.4
関連ニュース
Monsoon situation quite serious, says Pawar,Hindu,7.21
http://www.hindu.com/2009/07/21/stories/2009072160531000.htm
Another depletion in monsoon forecast,Dawn,7.18
http://www.dawn.com/wps/wcm/connect/dawn-content-library/dawn/news/pakistan/13+another+depletion+in+monsoon+forecast-za-04
Water shortage damaging paddy crop ,Dawn,7.15
http://www.dawn.com/wps/wcm/connect/dawn-content-library/dawn/news/pakistan/provinces/13+water+shortage+damaging+paddy+crop-za-06
Paddy crop hit by severe water shortage ,Dawn,7.7
http://www.dawn.com/wps/wcm/connect/dawn-content-library/dawn/news/pakistan/provinces/13+paddy+crop+hit+by+severe+water+shortage-za-12
7月14日
ウガンダ南東部・パリサ県の漁民、ピーター・コノリア・オカロが、6人の子供に食べさせる食料がなく、トウモロコシ用の農薬を飲んで自殺した。近隣住民が言うには、オカロが漁から戻るとき、子供たちはいつも食べ物をせがんでいた。妻のイペルは、オカロが先月自殺したすぐあと、二人の子供も餓死したと言う。
「この日、夫は朝早く起き出し、ベランダで静かに座っていた。子供は前の日、何も食べないで寝た。一晩中、食べ物を求めて泣き叫んでいた。私は臨時の仕事を探しに湖岸に行き、戻ると夫は死んでいた。ベッドの脇に毒の瓶があった」、
「夫は所有地がなかった。年30万シリングで1エーカーの土地を借りていた。けれども、植えた作物は干上がった。みんな同じだから、親戚の助けも求めることができなかった」・・・・・・。
Father kills self over famine,New Vision,7,14
http://www.newvision.co.ug/D/8/17/687777
ウガンダ(ウガンダだけではないが)は今、一部は猛烈な干ばつで、51の県が飢餓に襲われ、餓死者も日に日に増えている。
Famine: 51 districts hit as govt seeks Shs170b,Monitor,7.13
http://www.monitor.co.ug/artman/publish/news/Famine_51_districts_hit_as_govt_seeks_Shs170b_87957.shtml
Teso region calls for irrigation schemes,New Vision,7.14
http://www.newvision.co.ug/D/8/13/687786
米国や日本は、今や食料直接援助から農業開発援助に移行すべきときと主張、G8は、今後3年で200億ドルの農業開発援助の大判振る舞いを約束した。
G8 to commit $20bn for food security,FT.com,7.10
G8 shifts focus from food aid to farming,FT.com,7.6
こんな金はどこから搾り出すのか。直接食料援助を減らすことによってか?FAOは、09年の世界飢餓人口は10億200万の記録的レベルに達するという予測を発表したばかりだ。気候変動の影響を増幅するエル・ニーニョの回帰も間近に迫っている。最悪のときを迎えての直接援助から開発援助への切り替えは、最悪の選択だ。
7月7日
西オーストラリア州の穀物生産が大幅減少の見通し 中・北東部は乾き、南部は水浸し
西オーストラリア州農業食料省の7月6日の発表によると、4-6月の小麦ベルト中部・北東部の少雨と南部の多雨で、このオーストラリア最大の穀物生産州の09年の穀物生産は1000万トンから1200万トンの間になりそうだ。今後雨が来れば中部・北東部の収量は回復するかもしれないが、南部では農地が水浸しになってさらに減収になる。オーストラリア農業資源経済局(ABARE)によれば、去年は1360万トンだったから、去年よりも160万トン(10%強)から360万トン(約25%)の減収ということになる。
http://www.agric.wa.gov.au/objtwr/imported_assets/content/lwe/cli/seasonalupdatejul09.pdf
なお、7月1日、オーストラリア気象局はエル・ニーニョ発生の可能性が高まっており、それに向かう動きが停滞あるいは逆転するチャンスは非常に少ないという予想を発表している。
ENSO Wrap-Up:A regular commentary on the El Niño-Southern Oscillation,09.7.1
http://www.bom.gov.au/climate/enso/
オーストラリアだけでなく、特にインド、東南アジア(フィリピン、インドネシアなど)、アフリカ南部、中米などでも天候パターンの異変と干ばつの可能性が高まっているということである。
5月29日
国民の40%が栄養問題に悩むとされるバングラデシュの農業大臣が28日、2015年までに全国民の食料安全保障
を確保することを目指す国家食料安全保障行動計画を発表した。計画は食料供給と食料・栄養へのアクセスを改善するための目標を詳述し、各省の責任の大要を示し、成功の度合いを測る基準も勧告している。政府は、国の農業生産と国民の購買力の増強を約束する。農業生産資材補助金を継続するか増やし、政府食料調達を強化し、また灌漑を促進するための水管理システムの大規模改革も考える。
食料大臣は基礎食料以外の食料の供給も国内生産で最大限確保する生産の多角化を強調したが、「真の挑戦は、人口増加、土地劣化、気候変動、災害の頻度の増加のなかで、国人一人が利用できる米の量を国内生産で維持することだ」と言う。また、効率的な食料調達のためには貯蔵施設が足りないという重大問題があるとも語る。
この行動計画は、米国政府と欧州連合(EU)が700万ドルの資金を提供し、国連食糧農業機関(FAO)とバングラデシュ政府が共同で実施する。この行動計画は、公平で、性差別を排除し、貧困問題に焦点を当てた包括的な食料政策を監督する政府の能力を強化するための”国家食料政策能力強化プログラム」の下で開発されたという。
Govt launches national food policy action plan,News from Bangladesh,5.29
http://bangladesh-web.com/view.php?hidRecord=266040
3月25日
インド国民会議派選挙公約 貧困ライン以下の全家庭にキロ3ルピー(約6円)で米または小麦を提供
国民会議派が、都市・農村の貧困ライン以下の全家庭に月25kgの米か小麦をキロ3ルピーの超安値で提供するという公約を掲げて、4月16日にから始まる下院議員選挙キャンペーンを開始した。
Rice, wheat at Rs.3 a kilo: Congress,Hindu,3.25
http://www.hindu.com/2009/03/25/stories/2009032561081500.htm
FAOが最近立ち上げた基礎食料品価格データベース(http://www.fao.org/giews/pricetool/)によると、インド主要都市における米・小麦の今年2月現在の小売価格(ルピー/kg)は次のとおりである。キロ3ルピーがどれほど安いか見当がつく。
|
チェンナイ |
デリー |
ムンバイ |
米 |
18 |
22 |
18 |
小麦 |
18 |
13 |
16 |
3月19日
ヨルダン政府 ナイル流域の食料生産基地化交渉でスーダンに代表団
ヨルダン政府は1998年、ナイル流域の広大な肥沃地の家畜飼育と作物栽培のための利用権をヨルダンに与えるというスーダン政府との間の協定に調印した。ところが、ヨルダン政府が推進をためらっているために、農業開発プロジェクトは一向に進捗しない。2008年初めには、スーダン・ナイルリバー州知事が、調印後10年も放置されてきた8,700fのヨルダンが利用すべき土地の半分以上を地元民に配分してしまった。スーダン政府は2009年で協定を打ち切ると宣言した。
ヨルダン政府は大慌て、マスリ農相は、「このプロジェクトは、国の食料安全保障の達成に大きく貢献するから、王国経済にとって死活的に重要だ」とし、4月半ば、プロジェクト復活を目指して代表団をスーダンに送ると発表した。代表団は、民間企業がプロジェクトを実行できるかどうか、必要なインフラの整備に参加できるどうかを決定できるように、プロジェクトのサイトを訪問する。また、協定の15年延長、プロジェクト対象地の25,000fへの拡大の可能性、プロジェクトがスタートしたときのスーダン政府による安全の保障についてもスーダン側と協議するということだ。
Kingdom seeks renewal of agriculture deal with Sudan,The Jordan Times,3.18
http://www.jordantimes.com/index.php?news=15117
09年1月
1月10日
3人に1人のケニア人が飢餓の危機に曝されている。食料が不足しているのは、学校給食を受けている150万の子供、エイズほか様々な病気の250万の患者と孤児、町に住む250万の人々を含む1000万人。9日、キバキ大統領が食糧安全保障に関する閣僚会合を召集、トウモロコシ500万トンの輸入を始めると決めた。食料不足は、一部は国の穀倉地帯である西部、ニャンザ、リフトバレーの諸州における大統領選後の暴力的紛争、一部は東部、中部、沿岸、北東部の諸州を襲っている干ばつから生じた。
State of emergency as hunger looms,Nation,1.9
http://www.nation.co.ke/News/-/1056/512778/-/u18d44/-/index.html
政府は飼料製造業者に対し、ホワイトメイズの不足を和らげるために、原料としてイエローメイズを使うように要請している。農業省は飼料製造業者に、イエローメイズを無税で輸入するライセンスを与えるつもりだ。
Kenyans threatened by starvation,The Nation,1.9
http://www.nation.co.ke/News/-/1056/512776/-/u18d42/-/index.html
12月25日
タイ 米価下落で農民が続々田んぼを売りに このままでは一人も残らない
年半ば以来の米価の急落で、高い肥料・農薬・小作料を払った米作農民が借金地獄、田んぼを売り払って都会に職を求める者が急増している。土地なし農民も、小作料を払って米を作り続ける余裕は全然ない。このままだと、タイには米農民が一人も残らない。
Debt-ridden
rice farmers forced to sell land,Bangkok Post,12.21
http://www.bangkokpost.com/news/local/8441/growing-debt-forcing-rice-farmers-to-put-their-farmlands-up-for-sale
12月3日
カタールがケニアに40万fの食料作物栽培用地をリースするように求めた。代わりに、ケニア沖の人気観光スポット・ラム島の港湾整備資金として24億ポンド(3300億円)を出す。キバキ・ケニア大統領は1日にカタールから帰り、彼のスポークスマンがラム島の南、タナ河デルタの土地のリースの要請を真剣に考えていると語った。彼は何事も無料(タダ)というわけにはいかないが、国への投資を呼び込もうとするには譲歩もしなければならないと言う。しかし、肥沃な土地が不公平に分配されているケニアに事件を引き起こしそうだ。同時に、国は食料危機の最中にある。政府は今週、トウモロコシ購入のための補助金と価格統制の導入を余儀なくされたばかりだ。
Qatar looks to grow food in Kenya,Guardian,12.3.
http://www.guardian.co.uk/environment/2008/dec/02/land-for-food-qatar-kenya
12月1日
世界小麦価格の下落はケニア国内の小麦製品価格の最近の高騰を止めるに至っていない。価格上昇を煽っているのは国内供給不足、シリング安、政府の徴税、輸送コストの上昇だ。パンの値段は過去4週間で15%上昇、供給状況の改善がなければまだ上昇するとベーカーは警告している。ベーカーによると、価格を押し上げている最大の要因は国内供給不足だ。多くのケニア小麦農民は07年12月の選挙後の暴力的紛争で移住、今年3月から5月までの長い雨季の間、小麦を作れなかった。
Wheat price
rallies as shilling weakens,Business Daily,12.1
http://www.bdafrica.com/index.php?option=com_content&task=view&id=11520&Itemid=5813
11月(ページトップ)
11月27日
食品メーカーは、トウモロコシ、大豆、小麦などの原料品コストの前例のない上昇で、パッケージのサイズを削ったり、価格を引き上げてきた。いまや穀物価格は下落、食料品価格も下がるというのが論理的だ。しかし、ミルクや生鮮品などいくつかの品目では価格が下がっているが、大部分のパッケージ品や肉の値段は高止まり、上昇さえしている。専門家は、消費者は食料品店やレストランの大部分の品目がすぐにも値下がりすると期待すべきでないと警告する。
政府や産業エコノミストは、食品の全体的コストは、肉や鶏肉の価格上昇に引っ張られ、2009年も上昇を続けると予測する。大きな理由は、今年はじめのレベルからは下がったもののなお歴史的レベルにとどまる商品価格の長引く上昇に食品企業が追いついていないことだという。
Food Prices Expected to Keep Going Up,The New York Times,11.27
http://www.nytimes.com/2008/11/27/business/27food.html?_r=1&ref=business
11月1日
タイ政府 米の農産物先物取引市場上場を計画 米価格安定・引き上げが狙い
米価格安定化の努力の一環といて、政府がタイ農産物先物取引所(AFET)を通しての米の取引の準備を進めている。農家がどのような市場に乗せることができるか、まもなく研究を終える。農家が価格変動のリスクを減らすのに役立ち、政府の買い上げ計画とともに、生産者価格引き上げを助けることにもなろうという。政府は、AFETで12月に取引するために、政府保管米から40万トンの精米を提供する準備を終えた。・・・
Plan to trade paddy on futures exchange,BP,10.31
http://www.bangkokpost.com/311008_Business/31Oct2008_biz41.php
輸出米価は、去年までに比べれば未だ倍以上とはいえ、5月半ば以降下がりっぱなしだ。政府買い上げの価格も引き下げざるを得なくなった(タイ政府 米の政府買い上げ価格を切り下げ 国際米価低落に降参)。国内小売米価も下がりっぱなしだ。
10月(ページトップ)
10月24日
貿易産業省が財務省に対し、国内米不足を回避するために今年7月に課した米輸出税を免除するように要請した。輸出を増やし、農民からの米購入を促進するためという。
現在、トン当たり80万ベトナムドン(48.5米ドル)から290万ベトナムドン(175.7米ドル)の米輸出税が最高品質の米にかけられている。
ベトナム食料協会によると、今年今までに370万トンを輸出した。470万トンという今年の目標を達成するためには、あと100万トンを輸出せねばならない。輸出業者はあと60万トンから70万トンほどの輸出契約を結び、アフリカと中東の新たな契約者を探している。
MoIT asks for rice export tax exemption,VNA,10.24
http://www.vnanet.vn/Home/EN/tabid/119/itemid/273591/Default.aspx
10月21日
フィリピン 減らない飢餓人口 過去3ヵ月、飢餓経験家庭が18.4%(330万)
社会気象局(SWS)が9月24-27日に1500の世帯主を対象に行った面談調査によると、過去3ヵ月の間に何も食べるものがなかった経験を”一度または数回”した”軽度の飢餓”家庭が15.2%(全国換算で270万家庭)、そういう経験を”しばしば”または”常に”した”重度飢餓”家庭が3.2%(同じく58万家庭)にのぼった。両方を合わせた飢餓家庭の比率(18.4、誤差の範囲は±2.5%)は過去10年平均より6%高い。軽度飢餓家庭の比率は過去10年平均より6%高く、重度飢餓家庭の比率は過去10年平均と同じだった。
地域的にはマニラ首都圏の飢餓家庭比率が最高で23%(56万家庭)だが、6月から1%ほど減った。ルソン島の残りの地域も20%(160万家庭)と高く、6月の12.3%から8%も増えた。ミンダナオは若干増えて18.3%(75万家庭)、ビザヤは8%も減って11.7%(42万家庭)だった。マニラ首都圏を除くすべての地域で重度飢餓は減っているが、軽度の飢餓は高止まりしている。
専門家は、商品(食料と燃料)価格の高騰と台風(6月のフランク)による農作物被害が影響していると見る。
SWS:http://www.sws.org.ph/pr081020.htm
Hunger
still on the rise in RP,Business World,10.20
http://www.bworldonline.com/BW102008/content.php?id=001
なお、10月14日に国際食料政策研究所(IPFRI)が発表した2006年世界飢餓指数([総人口中の栄養不良人口の比率(%)+5歳以下で標準体重に達しない子供の比率(%)+5歳以下の子供の死亡率(%)]÷3)によると、フィリピンの飢餓指数は90年の18.9から08年の14へと相当減っている。ただし、このレベルでは状況はなお”深刻”だ(飢餓指数が10台だと事態は“深刻”、20台は“緊急”事態、30台は“非常”事態とされる)。そのうえ、08年の数字は最新でも06年までのデータしか反映していない。つまり、世界中に食料危機をもたらしたこの2年ほどの価格高騰はまったく反映されていない。それが反映されれば、90年から08年にかけての外見上の改善は、完全に吹き飛んでしまう可能性が高い。
IPFRI:http://www.ifpri.org/media/20081014ghi/ghi08en.pdf
10月15日
今年の収穫は3100万袋で消費に100万袋足りない、不足分は4月までに輸入と農業大臣。、
Kenya: Now Maize Exports Banned,The Nation via allAfrica.com,10.13
http://allafrica.com/stories/200810141047.html
それでも、価格高騰を防ぐために輸出規制・禁止は禁止せよ?
9月(ページトップ)
9月22日
バングラデシュ 食料価格高騰で農村家庭の半分で食料消費削減 子供に健康問題
四半期別のバングラデシュ経済見通しの最新版によると、食料価格高騰のために農村家庭の半分、都市家庭の3分の1が食料消費を減らしている。食料消費の削減で農村家庭の子供の87%、都市家庭の子供の75%に健康問題が生じている。また、農村家庭の19%、都市家庭の11%が子供の教育費を払えなくなっており、20%の農村家庭、14%の都市家庭の子供が金を稼ぐための他所での仕事に従事している。
50pc rural households cut food consumption due to inflation,News from Bangradesh,9.22
http://bangladesh-web.com/view.php?hidRecord=222214
9月6日
タイ政府 保証価格での米買い上げ100万トン追加 農民の人気取りで政局混乱収拾?
国営タイ通信の9月5日の報道によると、タイ政府は今年の二期作目の米の保証価格による政府買い上げ量を、6月4日に発表した250万トン(籾ベース)*から350万トンに引き上げる。[主として都市を基盤とする民主主義市民連合(PAD)が首相府を占拠、サマック首相の退陣を要求しているが、首相はこれを拒否し、4日には国民投票でこの政局混乱を収拾する方針を示した。米買い上げ計画の拡大は、これにより下がり始めた米価を維持し、国民投票で勝つために不可欠な農村票を固めようとするものだろう]
*タイ政府 生産者米価低迷で幹線道路封鎖と脅す米作農家に降参 高価格買い上げへ(08.6.6)
Green light for another 1 million tonnes of paddy mortgage,TNA,9.5
http://enews.mcot.net/view.php?id=6106
9月4日
中国の今年の穀物生産予測 5年続きの増収で5億1000万トン超
国家穀物情報センターによると、今年の穀物収穫量は07年を1000万トン以上上回る5億1150万トンに達する見込み。米は101万トン増の1億8549万トン、小麦は264万トン増の1億986万トン、トウモロコシは417万トン増の1億5183万トン、豆類は346万トン増の1754万トン。国内穀物価格は、生産増加による備蓄の増加で安定する。
8月(ページトップ)
8月26日
エチオピア 都市優先 見放され、人も家畜も痩せ衰える干ばつ農村
世界食料危機が家族に耐え難い選択を強要する。Mulu Babocheがエチオピアの首都から干ばつに襲われた故郷の町を訪れると、弟は衰弱、家畜は痩せ細り、彼女の9人の子供は飢えでへたばっている。もう一人の子供をアジス・アベバに連れ帰って面倒を見られると計算した。しかし、皆同じように骨と皮ばかりだ。一番弱っているわけではないが、彼女お気に入りの末っ子を選んだ。干ばつと世界食料危機に由来する食料不足で数百万人が極貧のままに放置され、飢えにさらされている。
いまや都市住民を養えるかどうかも怪しくなっている。政府は、誰でも買えるように補助された穀物の価格を引き上げた。公式には、貧困と認められらた家族だけが50キロ90ブル(9.47ドル)の補助穀物を買うことができた。いまは125ブルになり、以前はこれに依存していたMuluのような人々は高すぎて買えなくなった。代わりに、取引業者、パン屋、中産階級の母親たちが、小麦を買うために行列している。Muluは、補助された小麦の価格の上昇のために、来週早々にも姪を田舎に帰らせるかも知れないと言う。「田舎の生活は過酷でも、それ以外に方法がない」。
ETHIOPIA: Choosing Among One's Own Amid Food Crisis,IPS,8.25
http://ipsnews.net/news.asp?idnews=43663
8月11日
食品価格急騰でエジプトが記録的インフレ率。7月の全国消費者価格指数の23%の上昇は16年ぶりの記録で、主に食品価格の年32.5%の上昇のため。年初まで抑えられていたように見えるインフレは、世界市場における食料品、特にエジプトが主要輸入国である小麦の価格の上昇のために、3月以来急上昇を始めた。価格上昇が著しいのはバター:71%、乳製品:38%、鶏肉:39%、パスタ:33%。
Egypt hit by dramatic food price rises,ABC Rural News,8.11
http://www.abc.net.au/rural/news/content/200808/s2331152.htm
8月7日
フィリピン 食料消費を減らした家庭が急増 3月調査の44%が最近3ヵ月で66%に
Pollster Pulse Asiaが6日に発表した報告によると、この3ヵ月の間に食料の消費または支出を減らした家庭が66%に達し、3月調査の44%から22%も増加した。この調査結果は、食料と燃料の価格上昇で7月のインフレ率が12.2%の記録的高さに達したと国家統計局が発表した1日後に発表された。
Hard times force more households to reduce food
consumption,Business World,8.7
http://www.bworldonline.com/BW080708/content.php?id=071
7月(ページトップ)
7月23日
もともと食品価格が高いノルウェーの消費者 世界的食品価格高騰は痛くもなし
ノルウェーの大部分の消費者は、ノルウェーの食料品価格は前から高く、また所得レベルも高いために、少なくとも今までのところ、世界中で高騰している食料品価格の影響を受けないで済んでいる。 ノルウェーが生産する肉や乳製品は、国の農業を安い輸入品から守るために高度に規制されている。従って、消費者は、乳、トマト、パンなどの基礎食品についてさえ、他の多くの国の価格の2倍から4倍も支払うことに慣れている。ノルウェーの農業者は大量の補助金を受け取り、比較的高い価格を請求することを許されている。今週のWTO会合でまたも攻撃されている高率関税が急騰する多くの外国食料品を締め出してきた。従って、ノルウェーの食品輸入は少なく、国内市場を世界市場から保護してきた。 |
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ノルウェーの所得レベルは比較的高く、平均的家族は国伝統の高価格にも支払うことができる。2006年の家計支出のうちで食品に当てられたのは11%にすぎない。世界最貧国の家族の80%とは大違いだ。
Norwegians spared the pain of rising food prices,Aftenposten,7.22
http://www.aftenposten.no/english/local/article2553233.ece
「改革」日本の消費者は海外の食品(原材料)価格高騰の影響から逃れる術もなく、同じく「改革」で増え続けるワーキング・プアは日々食うや食わざるかの生活だ。同じG10の国でどうしてこうも違うのか。
7月15日
米国のトウモロコシ、大豆に大幅減収の恐れ 授粉率・開花率は平年の半分以下
米国農務省農業統計局(NASS)が14日に発表した7月13日現在の作物生育状況によると、作付の遅れと中西部の洪水の影響でトウモロコシと大豆の減収は予想外に大きそうだ。トウモロコシの授粉率は13%にすぎず、昨年同期の50%はもちろん、過去5年平均の36%に比べても大きく遅れている。大豆についても同様で、7月13日現在の開花率は26%、昨年同期54%、過去5年平均45%を大きく下回る。ここ数日下落が続いた先物相場だが、再び上昇が始まりそうだ。.
http://www.usda.gov/nass/PUBS/TODAYRPT/prog2908.pdf
7月9日
G8 食料輸出規制撤廃を 中国やインドは国内で暴動が起きてもアフリカの暴動を防げ?
G8洞爺湖サミットの世界の食料安全保障に関するG8首脳声明に、「食料安全保障には、・・・輸出規制を撤廃すること・・・が必須である」という文言が盛り込まれた。日本経済新聞と会見したゼーリック世銀総裁は、9月の国連総会で輸出規制を禁止するように各国に求めている、サミット議長国である日本の福田康夫首相にも手紙を送ったと言う(日本経済新聞、7月9日、9面・国際2面)。
ハイチやフィリピンやアフリカの国々で暴動が起きるのを防ぐために、中国やインドやロシアやウクライナやベトナムやアルゼンチンは、自国で暴動が起きても輸出せよということだ。食料安全保障には貿易自由化が一番と言ってきた米国の前通商代表がこれを言うのは筋が通っている。メキシコやフィリピンは、貿易自由化・規制撤廃・補助金廃止などの強要でトウモロコシや米の自給力をぶち壊され、補助金付輸入食料で生き延びことを余儀なくされてきた。この輸入を強制した張本人が輸出規制禁止を言うのは、筋としては通っている。
しかし、食料安全保障を農業の多面的機能の中心に据え、それを守るための輸入規制・関税保護は各国に与えられた正当な権利と主張してきた日本がこれに同調では筋が通らない。輸出規制禁止を言うなら輸入規制も禁止せねばならないことになる。自給率39%の国、輸出規制で食料輸入が途絶えるのを恐れ、輸入規制の権利を自ら放棄したに等しい。少なくとも、そんな権利は主張できない。ドーハ・ラウンドもこれで決まりだ。日本の自由化・食料輸入派は万々歳だ。
[ここではあくまでも基本権としての輸出入規制を問題にしている。現実にあり得る権利の誤用、濫用は別の問題である]
7月4日
サウジアラビアの15の投資家の共同事業体がインドネシア・パプアのメラウケ統合米生産団地(MIRE)開発計画に参加、少なくと6000億ルピア(6500万ドル)を投資するということである。インドネシア農業省によると、各投資家は、それぞれ5000fから1万fを開拓することを望んでいる。MIREはアーキペラゴ東部地域に基礎食料を供給するための統合米生産団地をメラウケ地区に作ろうとする計画で、政府が160万fの土地を提供した。投資は、700kmの地区内道路、1500kmの西パプア州への連絡道路、三つの港と灌漑システムの建設にも向けられる。パプアの昨年の総収穫面積は2万788fで、一昨年は1万9898fだった。インドネシアの総収穫面積は1216万fで、大部分はジャワ島にある。
Saudis plan Rp 600b rice estate investment,The Jakarta Post,7.3
http://www.thejakartapost.com/news/2008/07/03/saudis-plan-rp-600b-rice-estate-investment.html
この計画のために、インドネシアの総収穫面積の1割以上(13.2%)もの土地を何故提供せねばならないのか、筆者には全然分からない。また、これほどの土地はどこから出てくるのか、森林以外に出所はあるのかも疑われる。これだけの土地が開発されれば、インドネシアが有力な米輸出国になるのは確実だろう。サウジアラビア企業は、米価格が高騰するなか、恐らくインドネシアからの米輸出でぼろ儲けしようとしているのではないかと疑われる。しかも、熱帯雨林を犠牲にして。
6月
6月26日
ベトナム 米輸出最低価格を引き下げ
24日、ベトナムが米輸出最低価格をトン当たり800ドル(→ベトナム 米輸出契約再開も最低輸出価格設定 米価低落の希望を打ち砕く)から780ドルに2.5%引き下げた。タイの輸出価格も先週に比べて多少下がった。タイ輸出業者によると、米価高騰に伴う作付面積増加で大きく増えると予想される6-7月の収穫を前に、バイヤーは、両国からの供給がピークを迎える7月に米価が底をつくのを待っている。ホーチミン市の業者は、「外国バイヤーは、インドが禁輸を解くと期待しており、ベトナムとの契約に突進していない」と言う。
Vietnam lowers rice export price,Vietnam Business Finance,6.25
国際米価の低下傾向が見えてきた。それでも、今年の年初に比べて、なお2倍以上のレベルだ。
6月19日
政府報告によると、5階層に分けられた20%の国民最貧層の食料支出の87%が米への支出になっている。この比率は06年:54%、06年:59%だった。2008年には、米価格の急騰で肉、野菜、果物などはほとんど食べらなくなった。下から2番目の階層でも、米への支出が60%に達する。
Rice alone devours 87pc of food budget of the poor,News from Bangradesh,6.19
http://bangladesh-web.com/view.php?hidRecord=205766
6月11日
パキスタン、サウジアラビア企業に農地販売 石油と食糧を引き換え
国の農業部門へのサウジアラビアの大規模投資を呼び寄せるために、パキスタン政府が、国の最も肥沃な農地のサウジアラビア企業への販売を促進する。6月9日、訪問していたサウジアラビアから帰った首相が明らかにした。先月も、政府は、民間企業による、アラブ首長国連合の食糧安全保障のための農地購入を助けている。
パキスタンの小麦や米、その他の食料品の価格は急騰している。穀物生産が国内需要の増加に追いつけないとき、外国の食糧需要を満たすための農地を提供するとは何事かという批判はある。しかし、政府エコミストは、2月に誕生した新政府は、経済状況の悪化でサウジアラビアの支援を死にもの狂いで勝ち取ろうとしているのだと言う。
予算案提出に先立つ首相のサウジ訪問の中心的狙いは、7月1日に始まる財政年度に引き渡される最低20億ドル相当の原油に対する支払の繰り延べの承認を勝ち取ることにあった。農地提供と引き換えにその承認を勝ち取ろうというのは合理的な選択だ、国内で消費される石油に与えられる補助をすべてやめねばならなくなれば、それこそ国民にとって大変な不幸というものだ、と言う。
サウジアラビアは、私的または公的土地所有者から公開市場で土地を購入することになりそうだ。パキスタン政府は、外国投資家が政府の課す輸出禁止を免れるようにする立法措置を導入すると示唆している。
Pkistan offer to sell farmland to Saudis,Financial Times6.10,p.6
Pakistan offers farmland to Saudis,FT.com,6.10
関連
サウジアラビア投資家 タイとの連携でタイ・アフリカ稲作への進出を探る(08.5.17)
中国政府 国内企業の外国農地取得支援を計画 食糧安全保障確保のため(08.5.9)
6月6日
タイ政府 生産者米価低迷で幹線道路封鎖と脅す米作農家に降参 高価格買い上げへ
タイ政府が4日、250万トンの籾米を米作農家から高価格で直接買い上げる米抵当計画の始動を決めた。最近の米価高騰にもかかわらず、笑うのは精米業者と輸出業者ばかりだ。商業大臣が米価は未だ上がる、売り急ぐなと米作農家を諭していたが、米ブームは長くは続かなかった。輸出業者は買い入れをやめた。精米業者は、水分含量が15%を超えているなどと難癖をつけて、トン当たり6000バーツといった低価格で買い叩く。怒った農家は、政府が適切な対策を講じないなら、パホンヨティン、ミトラパープ、ペチャカセム、スクムビットといった幹線道路を封鎖するぞと脅かしていた。これに政府が大慌て、抵当計画始動を決めたわけだ。
計画では、トン当たり13000バーツから10500バーツに値下がりしている粳米(水分量15%)を1万4000バーツで、同じく8000バーツから6000バーツに値下がりしている糯米(同)を9000バーツで買い上げる。政府は、この計画実施のための資金を調達するために、210万トンの政府保有米を外国市場に売り出すことも決めた。
仲買業者が利益を掠め取るのを排除するために、今までの買い上げ機関である商業省管轄の公共保管機関(PWO)ではなく、農業・農業協同組合省(BAAC)が農家から直接買い上げる。ただ、BAACは手続きに慣れておらず、うまくいくかどうかは不安が残る。農家は1週間様子を見て、もしうまくいかないなら、道路封鎖を
決行するという。
他方、コメ輸出業者は、こんな買い上げ価格は高すぎる、12000バーツが妥当なところと反発する。輸出国が供給を増やし、日本さえ30万トンを輸出するから世界米市場は緩み、価格が下がり始めた、コメ抵当計画でタイが輸出競争力を失うと恐れる。
[大統領がいくらハッパをかけたところで、国際社会がいくら援助したところで、これで増産などできるものか]
Govt wilts, averts farmers' blockade,Bangkok Post,6.5
http://www.bangkokpost.com/050608_News/05Jun2008_news01.php
フィリピン 高価買い上げの国家食糧機関に売れない米作農家 生産物は借金の担保
国家食糧機関(NFA)は、民間業者より高い価格で農家から米を買い入れているが、今年東ビザヤの農家から買い入れたのは目標の1%にすぎない。農家はNFAに売りたくても、米を借金の担保に取られており、買い叩く業者に売るほかない。
Farmers forced to sell palay to private traders,Business World,6.6
http://www.bworldonline.com/BW060608/content.php?id=057
5月
5月17日
サウジアラビア投資家 タイとの連携でタイ・アフリカ稲作への進出を探る
サウジアラビアの投資家が、食料安全保障の改善と米供給の安定確保のために、タイでの米契約栽培に強い関心を示している。また、スーダン、ウガンダでの米栽培への投資でタイ投資家とのジョイント・ベンチャーを望んでいる。5月2-8日のタイからサウジアラビアへの貿易使節団が明らかにした。ただ、タイのソムサック農相は、省は外国人が農業に投資するとか、農業目的で国の土地を利用するとかを許す政策を持たないにべもない。農産物価格高騰は、今に限れば金持ちの外国人を引きつけるだろうが、価格が一旦下がれば、農業になど誰も注意を払わないと言う。
Saudi Arabia looking to invest in rice,Bangkok Post,5.16
http://www.bangkokpost.com/160508_Business/16May2008_biz34.php
5月8日
環境経済の一流専門家であるヘルシンキ大学のマルク・オリカイネン教授が、最近の食料品価格の急上昇がバルチック海を汚染する栄養分の排出量を増加させると恐れている。価格上昇に伴って生じるであろう耕作面積の増加と家畜飼育の拡大の両方が、直接に栄養分排出の増加につながる。フィンランドの農地は、1f当たり11kgの栄養分をバルチック海に排出するが、沿岸部を除くフィンランド農業のバルチック海の水質への影響はそう大きくはない。ドイツ、ポーランドの畑には、それぞれ1f当たり220kg、90kgの窒素が投入されている。近い将来、ポーランドの肥料増投が始まる。ポーランドには農業に関する環境プログラムは存在しないという。
Higher Food Prices Could Hurt Baltic Sea Water Quality,YLE,5.2
http://www.yle.fi/news/left/id89652.html
米国ではトウモロコシ価格の高騰が、既に窒素肥料多投→陸海水域の富栄養化→メキシコ湾等におけるデッドゾーンの増大を招いている。
5月4日
食料価格の世界的高騰をめぐる中国、インドと米国の鞘当が始まった。先月28日、ライス米国務長官が、エネルギーをめぐるワシントンでの会合で、バイオエタノールの食料価格への影響を認めながら、これは問題のごく一部にすぎない、スーダンのような紛争地域における食料配布の問題や、ますます裕福になる市民の需要に応えようとする中国のような国々によって課される輸出制限の食料価格を吊り上げていると語った。
US secretary concedes biofuels may spur food price rises,AFP via Yahoo!news,4.28
http://news.yahoo.com/s/afp/20080428/sc_afp/unfoodinflationpovertyus
4月30日、中国農業部副部長が、バイオ燃料をめぐる欧州議会有力党派の代表との会合で、「中国やインドの人口成長や生活水準の上昇が世界的危機の根源ではない、主要な責任は先進国が負うべきだ」と応酬した。欧州諸国や米国はトウモロコシやナタネのような食料作物をバイオ燃料原料として大量に消費しており、これが、環境や、世界的エネルギー不足の中でのディーゼル燃料などの資材の価格高騰によってすでに打撃を受けている穀物生産に悪影響を与えている。EU諸国の手厚く補助された農産物が輸入国市場を襲い、これらの国の農民の意欲を挫いてきた。先進国からの大量の資金の先物市場への流入が価格を吊り上げていると言う。
China agriculture official: Developing world not behind grain crisis,xinhua,5.1
http://news.xinhuanet.com/english/2008-05/01/content_8084636.htm
すると5月2日、ブッシュ大統領がミズーリで、エタノールが食料価格を吊り上げているのは事実だが、食料価格上昇の原因にはエネルギー価格上昇(中国やインドが大量の石油を使い始めたから)、それに伴う肥料価格上昇、干ばつなどの他の要因もあり、さらに、「例えば中産階級に分類されるインドの3億5000万の人々がいる。これはアメリカより多い。インドの中産階級はわが国の全人口より多い。彼らが富を得、栄養と食料の改善を求め始めた。その需要は大きく、それが価格高騰を引き起こしている」のであり、エタノールが価格に与える影響は微小だと述べた。
President Bush Discusses Economy, Trade,White House,08.5.2
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2008/05/20080502-8.html
インドが猛反発した。インドは国民が必要とする食料の大部分を生産しているのに、アメリカは食料をバイオ燃料に変えている、なんでインドが非難されねばならないのか、以前は石油価格高騰をインドと中国のせいにし、今度は食料価格高騰をインドと中国にするなど、ブッシュは経済が全然分かっていない、インドには十分に食べられず、栄養不足の人が未だいっぱいいる、等々、政治的立場を超えてすべての人々が反発している。
Parties criticise Bush’s remarks,Hindu,5.4
http://www.hindu.com/2008/05/04/stories/2008050455201000.htm
どちらも正しくもあり、正しくもない。インドや中国で増大する食料需要の大部分が国内生産で賄われているのは事実である。それでも、そのために輸出が減り、あるいは多少なりとも輸入に転じ、あるいは輸出制限に動いていることは、弱小輸入国に甚大な犠牲を強いている。
5月2日
東南アジア5ヵ国の米価格維持のための米輸出国機構(OREC)結成の動き(タイ首相 メコン流域国で価格カルテル=米輸出国機構(OREC)を創設,08.5.1)を受け、フィリピンが最新技術の利用で米生産を改善、2010年までに自給を達成することで対抗する方針を明らかにした。ヤップ農相は、国際稲研究所と連携して、今年の雨季から1f当たり5トンの収穫を目指すという。
Philippines seeks self-sufficiency in rice vs OREC,Inquirer,5.2
http://newsinfo.inquirer.net/topstories/topstories/view/20080502-134129/Philippines-seeks-self-sufficiency-in-rice-vs-OREC
ただ、地方への適応性を信頼せず、高価な肥料、種子、水を大量に使わねばならないのを嫌って政府推奨の高収量ハイブリッド種(種は毎年購入せねばならない)を受け入れてこなかった農民が、にわかに応じるとも思えない。
アジア ゴルフコース、ディベロッパーが田んぼを蝕む
「バリ島西岸のこのゴルフコースでティーオフする観光客、多分、足元のグランドが米供給をめぐる世界のパニックに結びついていることに気づかない。このゴルフコースは、かつては田んぼのパッチワークだった。田んぼは、今はほんの僅かに残るだけだ。村人はメリディアンニルワナ・リゾートとグレグ・ノーマン設計のグリーンでキャディーやウエイターとして働いている。
バリからベトナムまで、田んぼがゴルフコース、ホテル、ヴィラ、工業団地に変わりつつある。アジア経済は急速に発展、生活水準は上がり、人々は農業から離れ、もっと賃金が高く、あまり労苦を要しない仕事に就くようになった。このシフトが地域の大部分の主食である米の生産を減らしてきた。
最近の米価格の歴史的高騰は、アジアの一部地域で政治的不穏の恐怖を突発させ、将来の経済成長と食料安全保障をどうバランスさせるかをめぐるアジア諸国政府が直面するジレンマを際立たせている。
・・・・・・。
バリでは、ホテルやその他の不動産プロジェクトが絵葉書のような棚田を蚕食している。農業省によると、1980年に18万2000fのピークに達した米収穫面積は、今では14万5000fにまで減った。ウブドで米をつくるI Ketut Cuet氏は、”すべての土地がヴィラに使われたら十分な米がなくなるから、これ以上、ヴィラは要らない”と言う」。
しかし、外国人観光客は去年、インドネシア経済に53億ドルの金を落とした。うち40%をバリが占める。多くのバリ人がきつい仕事をやめた。一部農民は、賃金の安いジャワ島から人を雇い、田んぼで働かせている。これも当然だ。米農民は泥水のなかの長時間立ちつづけ、田植えや稲の世話、収穫で腰を二つに折らねばならない。
自家の田んぼでずっと働き続けてきたチャング(バリ西部)のWayan Sugita氏は、「農業はいい暮らしではない。例えばツーリズムのようなほかの仕事に比べてきつく、収入も少ない」と、息子が何世代も続いてきた米づくりを継がないことを恐れる。
世界の指標となるタイの米価格は、今年は3倍近くのトン・1000ドルまでに急騰した。しかし、これで儲けているのは、貿易業者や精米業者などの中間商人だけ、肥料価格の青天井の急騰で農民は米価格高騰の恩恵に浴していない。
・・・・・・。
[ともあれ、高給で、体にきつくない仕事に就く人がますます増えるなかで、これらの人たちをより少ない人と田んぼで養わねばならない。どうしたらそれが可能なのか。大量の石油と肥料を使う米国・ブラジル流の大規模農業の開発と普及が答えにならないことだけは確かである。環境を損なわず、自然資源を消尽せず、農民の労働・経済負担も減らし、土地の持つ自然力を最大限に発揮させることで収量を維持し、増加させる革新的農業の開発と普及が急務である―農業情報研究所(WAPIC)]
Golf courses, developers nibble at Asia's rice paddies(Rueters),Straght Times,5.1
http://www.straitstimes.com/Latest+News/Asia/STIStory_232967.html
5月1日、食料価格高騰への政府の対応を求める1000人以上の婦人が、空っぽの鍋釜をたたいてペルー議会周辺で抗議行動。価格高騰で貧しい人々に政府補助で食事を提供する食事ホールが十分な食事の提供できなくなっている、政府はホールがコストをカバーできるように財政援助を増やせと要求している。政府は食料輸入関税を引き下げ、ガルシャ大統領は首都の最貧困地域で食料を無料で配るために軍を送り始めた。
In Peru Protest, Women Urge Action on Food Prices(Reuters),The New York Time,5.1
http://www.nytimes.com/2008/05/01/world/americas/01PERU.html?scp=12&sq=may+01+2008&st=nyt
5月1日
商務部が4月30日、国内供給を確保するために、穀物と肥料の輸出を厳格に管理し、農産物の貯蔵を拡大するように地方当局に要請。30日に出された通達は、穀物と肥料の輸出を統制する国の政策を実施するための有効で、厳格な措置を取るように要請している。食料価格は今年の第一四半期に21%上昇した。主に農産物の価格が上昇したためである。通達は、地方当局が食用油の輸入許可を迅速に出すべきだとしている。種子、肥料、ディーゼルなどの農業資材の価格が流通過程で不当に値上げされるのを防がねばならないとも言う。さらに、肉や地方備蓄を確立し、少量の穀物、食料油、肉などの日常的必需品の備蓄も増やすために一層努力せよと指示する。肉、卵、野菜の価格高騰が第一四半期の消費者価格指数(CPI)を年率にして8%にまで押し上げた。今年の政府目標では、CPI上昇は4.8%に抑えることになっている。
China urges strict local-level control of grain, fertilizer exports,xinhua,5.1
http://news.xinhuanet.com/english/2008-05/01/content_8084659.htm
4月
タイ 政府、政府保有米の安値放出を正式決定
タイ政府が4月29日、210万トンの政府保有米を市場価格よりも20%低い価格で販売することを正式に決定した。2週間以内に配布を始めるが、販売価格を適正に維持するために、近代的スーパーや通常の小売店では利用できない。タイ米パッカー協会は、供給者の投機や、価格上昇が止まらなくなるのを恐れる消費者の買いだめで市場への供給が細る今、この決定は適切としている。この決定で、タイ農産物先物取引所の29日の先物価格(6月限)は5%の大幅下落となった。ただし、収穫中の二期作の米価格への影響を警戒している。
Govt to sell rice stocks,Bangkok
Post,4.30
http://www.bangkokpost.com/300408_News/30Apr2008_news01.php
アフガニスタン 食料価格高騰と供給不足で、各地住民が家を捨て、都市に移動
食料価格高騰と供給不足で、各地の多数の住民が家を捨て、都市に移動、パキスタンに移動する人も現われている。草を食べている人さえいる。この1年で食料、不可欠な小麦粉は100%(倍)の値上がり。2008年のは干ばつと生産の減少で、価格はますます上がる恐れがある。政府は、地域市場から様々な食品を購入し、輸入するために5000万ドルを計上して価格高騰の抑制に努めている。アフガニスタンの食品市場は、パキスタン政府による小麦粉輸出禁止の影響を受けている。しかし、パキスタン政府も、自分たち自身が世界的食料価格上昇の影響を受けていると言う。
AFGHANISTAN: Food insecurity prompts hundreds to leave their homes,IRIN,4.29
http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=77966
死者まで出た2月の食料暴動を受けて政府が3月7日に行った米、小麦粉、魚などの輸入関税(5%)の廃止にもかかわらず、食料品価格が一向に下がらない。政府は、卸売り商は関税廃止なら価格を引き下げると事前に約束したから、小売商が問題だと言う。政府は、旧価格のままの首都・ヤウンデなどの50の小売店の閉鎖を命じた。しかし、小売商は卸が値を下げていないと言う。
エコノミストは、どっちが悪かろうと、価格を政府の命令で決めるなどそもそも不可能、輸入価格は国際的に決まり、その60%は運賃、国際的港湾使用料や保険も政府のコントロール外にある。もっと重要なのは、価格は、基本的には需給関係で決まるが、2004年まではカメルーンへの最大の米輸出国であった中国が供給をカットした。この2ヵ月、他の輸出国も輸出を止めたから、5%関税を廃止しても7%上がった米価格は、今後ますます上がるだろう。
小麦粉の小売価格は下がったが、これは主に国際価格が下がったからだ。ただ、魚は下がった。世銀やIMFが何というか分からないが、国連食糧農業機関(FAO)は非公式ながら、このような価格統制は短期的救済策にはなるかもしれないと認める。
しかし、エコノミストは、価格統制の長期的影響を恐れる。それは闇市場を作りだすだろう。また、カメルーンで価格引き下げに成功したとしても、そのときには貿易業者が輸入品を価格の高い隣国に輸出し、カメルーンは食料を失うだけだ。政府は輸入税を復活させ、その収入を国内生産補助金として使うべきだ、食料安全保障はそうすることでしか確保されないと言う。
CAMEROON: Lifting of import taxes fails to reduce food prices,IRIN,4.29
http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=77971
4月30日
世界 近代農業に不可欠な肥料の不足と価格急騰で多くの国の作物収量が脅かされている
去年、一部の肥料は3倍にも値上がりした。そのための食料価格上昇は、途上国各地で抗議行動を生み出している。米国・アイオワでは、豚の排泄物を畑に撒く古い慣行が増えてきた。インドでは、肥料補助金のコストの急増が政治的紛争を引き起こしている。アフリカでは、作物収量引き上げによって飢餓から逃れる計画が、突然破綻した。
Shortages Threaten Farmers’
Key Tool: Fertilizer,Tne New York Times,4.30
http://www.nytimes.com/2008/04/30/business/worldbusiness/30fertilizer.html?ref=business&pagewanted=print
食料価格高騰で世界食糧計画(WFP)の援助資金が底をつき、カンボジアの1343の学校の45万の子供たちへに満足な栄養を提供する給食が間もなく打ち切られる。給食用の米在庫は30日以内に使い果たされ、人気の無料朝食が無期限に停止される。
Soaring Food Prices Imperil Meals for Poor in Cambodia,The New York Times,4.30
http://www.nytimes.com/2008/04/30/world/asia/30cambodia.html?_r=1&ref=world&oref=slogin
マレーシア ・サバ州 32%の米自給率を2年で60%に増やす
サバ州が現在32%の米自給率を2年以内に60%に高めることを目指す。そのために、現在3万9571fの水田を1万f増やす。すべての公的機関の協同を要請、遊休地の開発での協力も必要としている。
Sabah aims for 60% rice self-sufficiency,The Star,4.30
http://thestar.com.my/news/story.asp?file=/2008/4/30/nation/20080430144646&sec=nation
タイ 低級米や砂利・砂で増量の米袋発見
ワントーンの2人の村人が、低級米や砂利・砂で増量された米を買わされたと警察に届け出た。1人は米袋を積んでピックアップトラックで村にやってきたティーンエージャーから45kgの米袋を買った。後に増量が分かった。もう1人も45kgの袋を買ったが、8kg足りず、同様に増量れていた。[米の値上がりで、米泥棒だけでなく、こんな悪徳商法もはびこり始めたということか」
Gravel, sand found in rice,Bangkok Post,4.29
http://www.bangkokpost.com/290408_News/29Apr2008_news08.php
財務省が米、その他の重要作物の生産を増やすために、貧しい農民に00万ライ(144万f)の未利用国有地をリースすることを計画している。低地地域は米農民にリースし、残りはバイオエタノールの生産に利用できる作物のために取り置かれる。
PM plays down
dwindling rice stock fears,Bangkok Post,4.28
http://www.bangkokpost.com/280408_News/28Apr2008_news09.php
セネガル 政府が米増産キャンペーン 目標達成の見込みはない、と専門家
4月26日、食料と燃料の価格高騰に抗議して1000人がダカールの街を行進した。政府は“自給”米栽培キャンペーンを始めたが、専門家は信頼できる農業・農村開発のビジョンはないと批判している。大統領は4月18日、現在は年に10万トンの米生産を2015年には60万トンに増やす計画をぶち上げたが、この目標が達成できると見る専門家はほとんどいない。
専門家は、年に5万3400トン増やすには、過去5年の農業総予算に相当する3億3500万ドルが必要だ。利用可能な土地はたっぷりあるが、それを耕作可能な平地にするためのコストは、1ヘクタール当たり7184ドルになる。
セネガルの米生産者は、種子、肥料、農薬の費用負担を引き受ける投資家からの信用貸しに依存しており、それなしでは肥料、農薬も購入できない。生産者から米を買う加工業者も同様だ。しかし、米生産には運まかせの環境のためにリスクの高い投資と見られている。2006年には北部セナガル河流域の米の半分が、収穫前に鳥に食べられてしまった。国家銀行からの貸付は、1990年代に多数の米生産者が返済を怠ってから干上がった。
米 自給を目標にするなら、信用問題が解決されねばならない。国がこれを規制し、農民に貸さねばならない。それなしでは何もできない。・・・
SENEGAL: As protests swell “self sufficiency”
plan is questioned,IRIN,4.28
http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=77961
4月28日
ベトナム 米輸出よりも食糧安全保障
首相が27日、輸出よりも国内備蓄の増加に重視することで食糧安全保障を確保すると語った。最近の冬−春の収穫で900万トン以上が供給されるから、米不足はない、ホーチミン市での最近の米価格急騰は商業と公衆の投機のためで、情報伝達を強化、投機や不適正な価格吊り上げは厳重に罰すると言う。
Food supplies sufficient for both consumption,
export, assures PM,Viet Nam News,4.28
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=02ECO280408
シンガポール 政府が安くて美味しい食品店リスト
政府が一食2シンガポールドル(1.47米ドル)の安くて、美味しい食事を提供する食品店のリストを掲載したウェブサイト(http://ekampong.com.sg/)を立ち上げた。
Singapore, Hit By Food Cost, Promotes $1.50 Meals,The New York Times,4.28
http://www.nytimes.com/reuters/world/international-food-singapore.html?scp=65&sq=april+27+2008&st=nyt
マレーシア 米消費減らしで食料不足に対処
政府は、世界的食料不足への対処の一環として、米消費減らしに乗り出す。農業大臣は、マレーシアの成人1人当たりの年間米消費量は77kgだから、健康的な食事を重視、野菜に置き換えることで米消費を減らす余地があると言う。マレーシアは、国内で必要とする米の70%しか生産していない。
Ministry to employ ‘eat less rice’ strategy,The Star,4.28
http://thestar.com.my/news/story.asp?file=/2008/4/28/nation/21084201&sec=nation