インドネシア熱帯雨林破壊 新型コロナとラニーニャ大雨で急減
インドネシア政府が、昨年の国の森林喪失面積がこの5年間で最少となったと主張している。
環境・林業省よると、2019年から2020年にかけて失われた森林面積は11万5460㌶で、2018~19年の46万2500㌶、2017~18年の43万9400万㌶に比べると大幅な減少が記録された。
この減少は、森林と泥炭地(ピートランド)の火災をコントロールする原生林及びピートランドの(オイルパーム農園等への)転換の政府によるモラトリアムと厳正な法執行の結果だという。これには森林破壊と炭素排出を減らすためのノルウェーなどからの国際資金援助が貢献しているおり、この5年間、森林破壊は退潮傾向が見られる。
だが、世界資源研究所(WRI)インドネシアの気候・森林シニアマネージャー・Arief Wijayaは、2019~20年の急減には新型コロナ蔓延(パンデミック)や極端な気候事象といった別の外的要因が働いていると言っている。
パンデミックが引き起こした世界的経済危機の結果、パームオイルや木材など農林産商品への需要が減少した。ラニーニャの影響による大雨も森林と泥炭地の火災を減らす役割を演じた。
彼は、今後政府は、気候変動との闘いの国際的枠組みの中で、森林破壊減少傾向を維持するために一層努力する必要があると言う。
Govt takes credit for lowest deforestation rate in 5 years,The Jakarta Post,21.3.8
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