インドネシア政府 プランテーション企業の大規模森林火災関与を認め、告発へ

農業情報研究所(WAPIC)

09.8.10

 インドネシアのラフマット・ウィトエァル環境担当相が、環境法を無視したプランテーション企業に対して警察が法的行動を取るを助けるために、リアウの大規模森林火災に関する発見を提出すると誓った。

 ラフマット氏は先週土曜日、森林火災の影響を調べるために、マレーシアのダグラス天然資源・環境相と連れ立って森林地域上空を飛んだ。この飛行で、先週来の厚い煙霧でフライトを混乱させ、多数の学校の閉鎖を余儀なくさせた森林火災の背後に、リアウで操業するいくつかのプランテーション企業があることを確認した。

  同氏は日曜日、ジャカルタ・ポスト紙に対し、「今週、リアウの森林火災にかかわった企業に対する訴訟を提起する」と語ったという。

 Govt to report firms burning forests to police,Jakarta Post,09.8.10
 http://www.thejakartapost.com/news/2009/08/10/govt-report-firms-burning-forests-police.html

 毎年大量の熱帯雨林を焼きつくすインドネシアの森林火災にパームオイル・プランテーションなど、マレーシア企業も含むプランテーションがかかわっていることは、WWFやグリーンピースを含む環境団体が、自前の調査に基づいて以前から指摘してきた。

 しかし、これらの指摘は公的には決して認められることなく、森林内で暮らす先住民たちによる焼畑農業のせいにされて放置されてきた。国がプランテーション企業の罪状を認め、告発に乗り出すとすれば、インドネシアの森林保護政策の画期的前進ということになる。

 インドネシア天然林は2015年までに全滅の予測

 ただし、インドネシア熱帯雨林の破壊自体はこれで止まるわけではない。ボゴール農業研究所(IPB)の専門家による最近の予測では、国の天然林は、伐採許可の保有者による伐採と再植林義務の無視のために、2015年までには消滅する。政府は、全体で1億2000万ヘクタールの天然林のうち、6400万ヘクタールを合法的に伐採できる森林地域に指定している。

 許可保有者が許可条件である伐採後の再植林を怠っても咎めはない。1990年代の年280万ヘクタールの森林破壊率は100万ヘクタールにまで落ちたが、これは管理が改善されてからではなく、もはや残った森林が十分にないからだという。

 RI may lose natural forest by 2015, says enviro expert,Jakarta Post,09.7.30
 http://www.thejakartapost.com/news/2009/07/30/ri-may-lose-natural-forest-2015-says-enviro-expert.html

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