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万葉集第10巻
【秋の雑歌】
1999番
赤らひく 色ぐはし児を
しば見れば 人妻故に 我恋ひぬべし
頬を赤く染めた 繊細な美しさのあなたを何度も見てうちに 人妻と知っていながら 私は恋しくなってしまうんだよ
牽牛を愛する織姫のひたむきさと伝説の美しさに、作者は織姫のファンになったのでしょうか
2009番
汝が恋ふる
妹の命は 飽き足らに
袖振る見えつ 雲隠るまで
あなたの愛しい 織姫星は 短すぎる逢瀬の時が物足りなく 雲に隠れるまで 袖を振っていたろう
織姫と牽牛の別れの場面を想像して、第三者の目で読んだ歌です。
2014番
我が待ちし 秋萩咲きぬ
今だにも にほいに行かな 彼方人に
心待ちにしていた 秋萩が咲いた 今すぐにでも行って 愛し合いたい 向こう岸にいる人と
牽牛の立場になって詠んだ歌です。
2020番
天の川 夜舟を漕ぎて 明けぬとも
逢はむと思ふ夜 袖交へずあらむ
天の川を 夜通しかけて舟を漕ぎ 夜が明けてたとしても 逢うと決めた夜は 愛し合わないでいられないよ
2032番
一年に 七日の夜のみ 逢ふ人の
恋も過ぎねば 夜は更け行くも
一年に 七夕の夜にだけ 逢える人の 恋は尽き果てないままに 夜が明けてきた
2069番
天の川 瀬ごとに幣を 奉る
心は君を 幸く来ませと
天の川の 瀬ごとに 神に捧げ物をしました あなたを無事にお渡し下さいと願う心からですよ
織姫の立場になって詠んだ歌です。
2078番
玉葛 絶えぬものから さ寝らくは
年の瀬りに ただ一夜のみ
(玉葛)永遠の愛を誓ったふたりでも 一緒に寝れるのは 一年経つうちに たった一夜きり
2240番
誰そ彼と われをな問ひそ
九月の 露に濡れつつ君待つわれそ
誰だあれはと 私のことを聞かないでください 9月の露に濡れながら愛しい人を待っている私を
夕暮れ時を「たそがれ」と言いますね。この言葉の語源が誰そ彼(たれそかれ)です。
薄暗く誰かだか分明できない夕暮れは夜同様に危険な時間帯です、愛しい人を待ち切れないのでしょか
2299番
秋の夜の 月かも君は 雲隠り
しましく見ねば ここだ恋しき
秋の夜の月のようね あなたは 雲に隠れるように しばらく見ないでいると こんなにも恋しいなんて