万葉集第12巻
3101番
紫は 灰指すものそ
海石榴市の 八十の衢に逢へる児や誰
紫の染料は 灰汁をさして美しさが出る。女も男に愛されて美しくなるものだよ。海石榴市の 八十の街で出会ったあなたは誰なの
市で出会った男女の相聞歌です。男性がナンパしたのですね。「名前はなに?」と声を掛けたのでしょう
3102番
たらちねの 母が呼ぶ名を申さめど
路行く人を誰としるてか
母が呼ぶ名(本名)を教えてたいけど、会ったばかりの良く知らない人なのに
その気がなければ無視すれば良いので、恋愛成立、ナンパ成功ですね^^
3122番
心なき 雨にもあるか人目守り
乏しき妹に今日だに逢はむを
無情の雨だなぁ 普段人目を憚り、逢う機会が少ないあの人に 今日こそは逢いたいのに
夜は神の時間であり、また闇夜は危険なので会う夜は限られていました。人目をはばかる関係ならば、なお更逢える日は少ないのに、無情にも雨が降っているのです
2922番
夕さらば 君に逢はむと思えこそ
日の暮るらしくも嬉しくありけれ
夕方になれば あなたに逢えると思うからこそ 日が暮れるのも嬉しくてならないのです
日の出とともに一日が始まり日没とともに一日が終わる古代の人々の生活では、夜は神の時間でもちろん女性が夜に外出する事などありませんでした。
作者も普段は夜が好きではなかったけれど、そんな夜も愛しい人と逢える日は、夜が来るのが嬉しくてしかたがないと歌っているのです。
「嬉しくありけれ」は「嬉しいのに、あなたは来なかった」との解釈もできます。